台湾・花蓮県光復郷の災害現場では、全国から派遣された救助犬が瓦礫の中を駆け巡り、危険な最前線で行方不明者の捜索にあたっている。その姿に多くの人々が希望を見いだす一方、「なぜ救助犬は首輪や衣服などの防護装備を着けずに現場に入るのか」という疑問の声も上がった。これについて、台南の専門救助犬チーム「Tainan K9」がSNS上で4つの重要な理由を解説し、疑問に答えている。
救助犬の安全を最優先に
「Tainan K9」によると、救助犬が災害現場で首輪や装備を付けない最大の理由は、安全を守るためである。特に不安定な建物内部に入る際、首輪が瓦礫などに引っかかると犬が身動きできなくなり、最悪の場合は命を落とす危険もある。過去には海外で実際に悲劇的な事故が起きており、首輪が引っ掛かったまま外れず脱出できない救助犬が、助けを求める鳴き声を残して命を落とした例も報告されている。
体温調節と機動力を確保
救助犬が装備を着けないもう一つの理由は、体温調節と機動力の維持だという。犬の肉球には自然な放熱機能があり、衣服や靴を装着するとその機能が妨げられる。また、犬の爪は瓦礫や不安定な地形でのグリップ力を発揮する重要な役割を持つ。過剰な装備はこうした能力を制限し、結果的に捜索効率を下げてしまう。
足裏の触覚が生む精密な探索
救助犬は足裏の触覚で環境情報を感じ取り、危険エリアや探索範囲を判断する。この感覚は非常に繊細で、装備で覆われると敏感さが低下してしまい、捜索の精度が落ちる恐れがある。
卓越した嗅覚 1頭で20人に匹敵
人間とは異なり、訓練された救助犬は嗅覚で圧倒的な力を発揮する。専門家によれば、その能力は20人の救助隊員に相当するとされ、被災地における危険区域の特定や生存者の位置確認を迅速に行える。救助犬はその特性から、最前線で真っ先に現場投入されるケースが多い。
獣医師の同行が不可欠
一方で、救助犬は高強度の作業でケガや病気のリスクにさらされる。「Tainan K9」は、獣医師の同行が極めて重要だと強調する。任務終了後にはハンドラーと獣医師が協力して犬の体調を入念にチェックし、異常があれば即座に処置を行う。薬の投与や外科的治療を通じて犬を万全の状態に保ち、次の任務に備えることが不可欠とされる。
編集:柄澤南 (関連記事: 舞台裏》台湾・花蓮県馬太鞍渓のせき止め湖悲劇、台大チームが方針を大転換! | 関連記事をもっと読む )
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