台風18号(ラガサ)がもたらした記録的豪雨により台湾東部が甚大な被害を受け、花蓮県が最大の被災地となっている。馬太鞍渓に形成されたせき止め湖は23日午後に越流し、強力な土石流が橋を流失させたほか、瞬く間に光復郷の市街地を覆った。中央災害応変センターの最新集計によると、24日午後10時時点で死者数は当初の17人から14人に修正され、負傷者は50人超、依然として31人が行方不明となっている。発生から3日目の25日、捜索活動は「黄金の72時間」の最終局面を迎え、雨が弱まった隙を突き、警察・消防・義勇隊などが地道な捜索を続けている。
捜索重点は佛祖街、被害は近代史上最悪規模
花蓮・光復郷の市街はおよそ100年ぶりの大災害に直面している。犠牲者14人のうち、敦厚路や佛祖街で多数の遺体が発見され、特に高齢者が多かった。25日午前9時時点でも数十人が行方不明のままで、警察・消防は約50か所の未確認地点で捜索を進めている。その中でも佛祖街は最も被害が集中しており、重点的に調査が行われている。
中央社の報道によれば、花蓮県の徐榛蔚県長は「捜索と生活再建を同時に進める」と強調。現在も断続的な豪雨により馬太鞍渓下流の堤防破口から水が流入しており、佛祖街や香草場集落では浸水が深刻で、大人の背丈に達する水位が残っているという。

堤防破口の制御が鍵
徐県長は、佛祖街周辺が堤防破口に近いことから「如何にして流入を抑制するかが捜索の成否を分ける」と述べた。第9河川分署は堤防破口からの流入量を減らす方法を引き続き検討しており、水位が下がらない限り救助隊や重機の進入は困難だという。県政府はまた、公式サイト上で避難所や民宿に身を寄せている住民の名簿を順次公開し、家族が安否を確認できるよう対応している。
せき止め湖の最新状況
一方、注目を集めるせき止め湖の状況について、満水時の容量は約9,100万トンに達していたが、23日の越流で下流に流れ出た水量は累計約6,000万トンと推定される。24日午前のドローン調査では、残存水量は約2,300万トンに減少していたものの、降雨が続いており再びせき止めや越流が発生する可能性がある。
農業部林業・自然保育署が25日早朝に実施した空撮によると、堰堤の越流口は侵食が進み、堤体の高さも低下していた。降雨の影響により、現場は依然として「赤色警戒」状態が続いており、予断を許さない状況である。
編集:梅木奈実 (関連記事: 台風18号で台湾・花蓮に大規模泥流災害 せき止め湖決壊で9100万トン流出、光復市街水没し5084人避難「津波のようだ」の声 | 関連記事をもっと読む )
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