自民党総裁選(10月4日投開票)に向けて立候補した5人の候補者が23日午前、党本部で共同記者会見に臨み、現在の少数与党体制を打開するため、自民・公明両党以外との連立拡大を目指す方針を一斉に表明した。

高市早苗前経済安全保障担当相は「首相指名選挙までにできるよう精いっぱい努力したい」と語り、政権構築への意欲を示した。小泉進次郎農林水産相は「物価高対策などで政党間協議を呼びかけ、丁寧なやりとりの中で信頼関係を構築していく。政策や基本理念が一致すれば、その先に連立の可能性が見えてくる」と述べた一方で、「枠組みを決めるのに期限を設けるものではない」とも付け加えた。
小林鷹之元経済安全保障担当相は「憲法や皇統、安全保障などの基本的な考え方を共有できる政党と最終的に合意を目指す。スケジュールや特定政党ありきではないが、最大限急ぎたい」と語った。茂木敏充前幹事長は「安定政権の確立が目標。外交・安全保障や憲法など基本政策が一致する政党との連立を、交渉力を駆使して目指していきたい」と述べ、林芳正官房長官も「安定した政権を築くという意味で、連立拡大は目指すべき方向だ」と強調した。

同日朝、国連総会に向けて出発する前に記者団の取材に応じた石破茂首相は、今回の総裁選について「政権で共に汗をかき、力を尽くしてくれた方、基本的な政策を引き継いでくれる方が選ばれればいい」と述べた。具体的な名前は挙げなかったが、5人の候補者のうち林官房長官と小泉農相を念頭に置いているとみられる。両氏は石破政権の政策を継承する考えを示している一方、小林、茂木、高市の3氏はこれまで石破政権と一定の距離を置いてきた経緯がある。石破首相はまた「誰が総裁になっても、この1年間みんなでつくってきたものを引き継いでほしい」と述べ、政策の継続性を訴えた。
5候補は連立拡大に意欲、小泉氏は92人動員で出陣式
5人の候補はいずれも連立拡大への意欲を示す中、22日には小泉進次郎農林水産相が国会内で出陣式を実施。代理を含めて92人の自民党所属国会議員が出席し、昨年9月の総裁選で獲得した75票を上回る動員力を誇示した。
小泉氏はあいさつで前回総裁選の開票結果を振り返り、「『ここもダメか』『ここもダメか』という瞬間が続いた。地方票の開票で結果が見えてしまうあの辛さを、今回は仲間に味わわせたくない」と述懐。党員・党友票での巻き返しに強い意欲を示した。さらに「自民党の再起を信じて戦ってきた仲間の思いに応えるため、最後まで緊張感を持って戦い抜く」と訴え、出席議員全員と「必勝」を誓い合った。

同日には小泉氏と高市氏の推薦人名簿も公表された。小泉氏の選対本部長は加藤勝信元官房長官(旧茂木派)が務め、推薦人には野田聖子元総務相(無派閥)、牧島かれん元デジタル相(麻生派)、島尻安伊子元沖縄北方担当相(旧茂木派)ら、幅広い派閥・世代の議員が名を連ねた。高市氏の選対本部長には中曽根弘文元外相(旧二階派)が就任し、推薦人には片山さつき、生稲晃子、有村治子ら保守系議員が多数含まれている。

自民党総裁選は10月4日に投開票が行われ、国会議員票と党員・党友票を合計した得票によって新総裁が選出される。候補者の政策姿勢に加え、石破政権との距離感や党内での結集力が、今後の情勢を大きく左右する見通しだ。
編集:梅木奈実 (関連記事: 自民党総裁選2025、最新世論調査で高市早苗氏が28%で首位 小泉進次郎氏が追随、林芳正氏は急伸の可能性 | 関連記事をもっと読む )
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