石破茂首相の退陣表明を受け、自民党総裁選が22日に告示され、午後1時から党本部で立会演説会が行われた。立候補した5人の候補者がそれぞれ決意と政策を訴え、10月4日の投開票に向けて本格的な選挙戦が始まった。
高市早苗氏「女性登用と強い経済」
高市早苗・前経済安全保障担当大臣は午前10時半ごろ国会近くの神社を参拝し、「総裁選挙にかける意気込みは半端なものではない。日本を強い経済、強い国土をもった国にしたい」と強調。その後、国会内で出陣式を開き、約30人の議員と「がんばろう」を三唱して結束を確認した。
演説会では「古来の伝統を守り抜き未来に引き継ぐため体を張る」と述べ、「明るく活発な官邸と自民党をつくり、今までよりはるかに多くの女性に活躍してもらう」と女性登用を前面に掲げた。経済政策については「人手不足の産業では外国人労働者に頼らざるを得ない場面もあるが、慎重に進める必要がある」と語り、「強い経済と安全な社会を次世代に残す」と決意を示した。衆院解散については「考えられない。まず物価対策と国会審議が最優先だ」と否定した。
小泉進次郎氏「党再生の先頭に立つ」
小泉進次郎・農林水産大臣は午前11時すぎ、国会内で記者団に応じ「まず思い返したのは去年の総裁選だ。敗れて仲間に申し訳ない気持ちで、自分の足りなかった部分と向き合った」と振り返った。続いて議員会館で出陣式を開き、菅義偉副総裁や加藤勝信財務大臣、推薦人の野田聖子氏ら約60人の議員が集結した。小泉氏は「いま党が置かれている状況は危機的だ。国民の声を聴き、政策として実現するのが自民党の原点だ。緊張感を持って必ず勝ち抜く」と力を込め、参加者とともに「エイ、エイ、オー」と声を上げた。
演説会では「国民が多くの不安を抱えているのに自民党は向き合えていなかった」と指摘。「党再生こそ政治家としての原点。国民が求める安全と安心を実現する政党に立て直す。その先頭に立つ決意だ」と語った。経済政策では「デフレ時代の常識を打破し、インフレ時代の新たな経済運営を築く」と述べ、ガソリン税の暫定税率廃止や基礎控除の調整制度導入を掲げた。
小林鷹之氏「若い力で再起動」
小林鷹之・元経済安全保障担当大臣は日枝神社を参拝後、党本部で陣営の議員らに送り出され、「自民党を再起動させ、その先にある日本を再起動させる」と強調。演説会では「若い力が自民党を引っ張る。世界の真ん中にもう一度日本を立たせる」と訴え、現役世代や子育て世代を後押しする税制改革や定率減税を提案した。
茂木敏充氏「逆風を越えて前へ」
茂木敏充・前幹事長は新橋駅前で街頭演説を行い「党や政府での経験すべてをこの国のために捧げる」と表明。演説会では「逆境を乗り越えるのは極めて難しいが、逆風の先頭に立って日本を前に進めたい」と訴え、地方課題に応じた「生活支援特別地方交付金」の創設や、平均年収500万円超を目指す賃上げ政策を提示した。
林芳正氏「夜明けをともに迎える」
林芳正・官房長官は午前に出陣式を行い、「最も厳しい状況の中で党と国のかじ取りができるのは林芳正しかいない」と決意を表明。演説会では「『夜明け前が一番暗い』。いまの暗い時期をともに乗り越えていきたい」と語り、実質賃金を毎年1%上昇させる目標や「日本版ユニバーサル・クレジット」の導入による中間層回復を掲げた。
世論と経済界の注目
朝日新聞社が20日と21日に実施した全国調査によると、新総裁にふさわしい人物は高市氏が28%、小泉氏が24%で続いた。自民党支持層に限れば小泉氏41%、高市氏24%と順位が逆転している。
経団連の筒井会長は「信頼回復と安定政権確立に向けた重要な選挙だ」とコメント。「成長と分配の好循環や自由で開かれた国際経済秩序の維持などをめぐり骨太な議論を期待する」と述べた。
編集:梅木奈実
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