石破茂首相は7日夜、官邸で緊急記者会見を開き、自民党総裁を辞任し再出馬しない意向を表明した。石破氏は「自民党総裁を辞任する決断を下し、幹事長の森山裕氏に伝えた」と述べ、党内分裂を回避するための不可避な選択だと強調した。また、政治資金規正法改正を実現したものの、国民の政治不信を払拭できなかったことを「最大の遺憾」と語り、さらに「もし自民党が依然として古臭く何も変わらないと見られるなら、この党に未来はない」と党内に警鐘を鳴らした。
石破氏辞任が台湾に与える影響
日本のメディアやシンクタンクは、後継をめぐり小泉進次郎農水相と高市早苗前経済安保相の一騎打ちになると予測している。評論家の矢板明夫氏は「近く自民党総裁選が実施され、新総裁が次の首相になるのは確実だ。これは台湾にとって大きな意味を持つ。石破氏はここ十数年で最も親中的で、台湾への関心が薄い首相だった」と指摘した。
● 小泉進次郎:44歳。就任すれば史上2番目の若さで首相となる。親しみやすいイメージが強い一方、実務経験の乏しさが課題とされる。
● 高市早苗:保守派を代表する存在で、憲法改正や防衛予算増額を主張。これまでに賴清徳総統や蔡英文前総統と会談しており、台湾の強力な支持者とみなされている。
台湾・民進党の郭国文立法委員は「石破氏の辞任は高度な決断であり、日台協力に新たな契機をもたらす」と評価。学界の専門家からも「高市が総裁に選ばれれば、日台の安全保障協力は大幅に強化される」との見方が示されている。
米露の反応 トランプは無関心、プーチンは長期的影響を注視
石破氏の突然の辞任について、米国のトランプ大統領はホワイトハウスで「全く知らなかった」と発言し、日米間で事前に調整がなかったことが浮き彫りとなった。ただし米国務省は「日米同盟はかつてなく強固だ」と強調し、新政権との協力を継続する姿勢を示した。
一方、プーチン大統領は直ちにコメントを控えたが、ロシアメディアは「石破氏辞任は日本政治の不安定化を示し、北東アジアの戦略環境に影響を及ぼす」と分析。トランプの「寝耳に水」の反応とは対照的に、プーチンは長期的な政権交代によるエネルギー協力や安全保障体制への波及を重視している。両者の認識の差は鮮明に表れている。
国際社会は石破茂氏の突然の辞任をどう見るか
石破茂首相の辞任は、日本国内にとどまらず国際社会でも大きな注目を集めている。米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』は「世界の主流政党が支持率を失い、ポピュリズム勢力が台頭する最新の一幕」と位置づけた。『ワシントン・ポスト』は、日本政治の不確実性がさらに高まるとの見方を示した。
中国国営の新華社は速報で報じ、石破氏が選挙敗北を謝罪した経緯を振り返り、政権交代に対する強い関心をにじませた。韓国大統領府は「未来志向で安定的に発展する日韓協力」を強調したが、『東亜日報』は「石破氏辞任後、日韓関係は再び不透明な局面に陥る可能性がある」と論じた。
党内クーデターと選挙敗北が辞任を促した背景
石破氏は首相就任からわずか1年足らずで辞任に追い込まれた。自民党は衆議院選挙、東京都議会選挙、参議院選挙で相次いで敗北し、結党以来初めて衆参両院で過半数を失った。
党内の重鎮・麻生太郎氏は「民意はすでに、石破首相の下では自民党が選挙に勝てないことを示している」と断言。党内の「石破おろし」の圧力が強まる中、295人の自民党国会議員が臨時総裁選の是非を表明する直前に、石破氏は自ら退陣を選び、党の分裂を回避する道を取った。
【石破茂氏辞任までの時間軸】
1. 2024年秋:石破茂氏が首相に就任
2. 2024年末:衆議院選挙で敗北
3. 2025年6月:東京都議会選挙で敗北
4. 2025年7月:参議院選挙で50議席確保できず、自民党が衆参両院で過半数を喪失
5. 2025年9月7日:石破茂氏が首相・自民党総裁を辞任
編集:柄澤南 (関連記事: 石破内閣、崩壊寸前 菅義偉と小泉進次郎が深夜の「説得」 「早期辞任こそ分裂回避の道」 | 関連記事をもっと読む )
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