中国の軍事脅威から守る太平洋の防衛線が崩壊する」ことを直接引き起こすと強調した。
アメリカ上院軍事委員会のロジャー・ウィッカー議長は、台湾訪問を終えて帰国した後の8日、自身の公式ウェブサイトに最新の週報を公開した。タイトルは「台湾は自由に生きる決意をしている」。そこには台湾での見聞や戦略的な分析が記され、中国が台湾を制圧すれば台湾の人々に壊滅的な打撃を与えるだけでなく、「アメリカを守る太平洋の防衛線が崩壊する」との強い警告が盛り込まれていた。
ウィッカー氏は、上院軍事委員会議長として初めて台湾を訪問。これは9年ぶりに同職が台湾を訪れたケースとなる。冒頭で彼は、アメリカの安全保障と世界経済に「極めて重要」な共和国から戻ったばかりだと述べ、2300万人の台湾住民を「自由を愛する人々」であり、中国の「侵略的な独裁者」に狙われていると表現した。さらに「習近平の最大の願望は、わずか90マイル先にあるこの島を併合し、毛沢東のような『伝説の指導者』として名を刻むことだ」と語った。
「もし台湾が征服されれば、台湾市民は命と自由を失う。それは世界経済を不況に陥れ、アメリカの太平洋防衛システムを崩壊させる」と彼は指摘。「私の訪台は、この壊滅的シナリオを阻止するためであり、国際社会の広範な努力の一部だ」と強調した。
滞在中、ウィッカー氏は台湾の総統、副総統、国防部長ら政府要人と相次いで会談。アメリカ議会は台湾との長期的な友情を築くことに全力を尽くすと伝え、「台湾の人々は自由に生きる決意をしており、その姿勢は世界の希望の灯台だ。彼らと共に立てることを誇りに思う」と記した。
台湾は地政学だけでなく経済の命綱
ウィッカー氏はまた、台湾の重要性をアメリカ国内の住民に実感してもらうため、自らの故郷ミシシッピ州を例に挙げて説明した。
「台湾は7,600マイル(約1万2,200キロ)離れているが、そこで起きることは毎日ミシシッピ州の暮らしに影響を与えている」と述べ、台湾が世界経済の中核であると強調。2024年時点で台湾はアメリカの第7位の貿易相手であり、世界の半導体チップの大部分を供給していると指摘した。これらのチップはスマートフォンや家電、自動車など生活必需品だけでなく、アメリカ軍の武器システムにとっても不可欠だ。
「もし中国が台湾の半導体工場を掌握すれば、習近平は世界経済を人質に取り、ミシシッピ州にある数千の半導体関連の雇用に大きな影響を与える」と警告。そのうえで、中国の侵略は台湾だけでなく近隣の自由国家をも脅かすとし、日本と韓国がそれぞれアメリカの第5位、第6位の貿易相手であることを例示。さらに世界人口の6割が太平洋地域に住んでいることを踏まえ、「もしこの地域が中国共産党に支配されれば、アメリカの商業活動や成長市場へのアクセスは深刻に脅かされる」と危機感をあらわにした。 (関連記事: 台湾の国防予算が過去最高に 米上院軍事委員長が訪台、NDAAで対台支援拡大を表明 | 関連記事をもっと読む )
台湾は太平洋の第一防衛線
ウィッカー氏はさらに、今回の訪台は上院軍事委員会議長としての立場から行われたものであり、台湾が国家防衛において持つ第二の重要な役割を明確にしたと強調した。