AIバブルは「デジタルの神」か「壮大な幻想」か エコノミストが米経済リスクを警告

2025-09-08 16:11
トランプの「解放日」関税がウォール街に暗雲をもたらす。(写真/AP通信提供)
トランプの「解放日」関税がウォール街に暗雲をもたらす。(写真/AP通信提供)
目次

もしデジタルの神が降臨しなければ、その後に訪れる崩壊は悲惨を極めるだろう。

『エコノミスト』AI株式市場が崩れたらどうなるか

「デジタルの神」はまもなく降臨するのか?

2022年にChatGPTが突如登場して以降、人工知能(AI)の革命的潜在力が世界の市場に火を点け、米国株式市場はわずか数年で21兆ドル拡大した(新台湾ドルで600兆超に相当)。このうちAmazon、ブロードコム、Meta、NVIDIAなど10社の巨大テックが上昇分の55%超を占めたとされる。熱狂は株式市場にとどまらず実体経済にも浸透し、2025年上期の米国GDP成長はほぼIT投資ブームが牽引した。今年は西側諸国のベンチャー資金の3分の1がAI関連スタートアップに流入している。

英誌『エコノミスト』は7日、米株高騰の背景には「AIが人類経済を覆す」という大きな信念があると分析した。ベンチャー大手セコイア・キャピタルは、その影響は「産業革命に匹敵、あるいはそれを上回る」と見る。資産運用会社アトレイデス・マネジメントの投資家ギャビン・ベイカー氏は昨年のポッドキャストで、現在のAIリーダーたちが目指すのは企業価値の「数十兆、数百兆ドル」の創出にとどまらず、実質的には「デジタルの神(Digital God)の創造を競っている」と述べた。かかる半ば宗教的な駆動の下では、いかなる規模の投資も正当化されがちである。

しかし、もしこの「デジタルの神」が降臨しなかったなら、米国経済は何に直面するのか。

AI経済の「非合理的繁栄」

AIは本当に「万能の神」となり得るのか。スイスの大手金融機関UBSが発表した報告によれば、これまでAIが生み出した実際の収益は「常に期待外れ」であった。西側のトップ企業ですら、AI関連の年間総収益は約500億ドルにとどまり、巨額の投資額とは釣り合わない。AI産業の利益は急速に伸びてはいるが、すでに行われ、これから予定される巨額投資に比べれば、依然として微々たるものにすぎない。

米投資銀行モルガン・スタンレーは、2025年から2028年にかけて世界で2兆9000億ドルが新たなデータセンター建設に投じられると予測する。そこには膨大なエネルギーコストは含まれていない。さらに問題は、そうした収益が果たして確実に利益へと転化できるのか、その見通しが極めて不透明である点だ。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究では、生成AIへの投資を行った組織の95%が「実質的なリターンはゼロ」であったという厳しい現実が示されている。

こうした乖離により、AI投資は「非合理的な熱狂」に陥っているのではないかとの疑念が強まっている。ヘッジファンドのプラエトリアン・キャピタルは、現在の状況を「グローバル・クロッシングの亡霊」と表現する。2000年代初頭のITバブル期、同社は過剰な海底光ファイバー敷設で最終的に破綻したが、今のAIブームはそれを想起させるという。UBSの別の報告書も「この分野のバリュエーションは確かに警戒水準にあり、キャッシュフローが期待を下回る余地はほとんど残されていない」と警告する。さらに、投資会社アポロのチーフエコノミスト、トーステン・スロック氏は、現在のAI株の評価額はすでに1999年のITバブル絶頂期を上回っていると明言している。

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