自民党内で「石破おろし」の動きが激しさを増す中、毎日新聞が8月23、24日に実施した全国世論調査は「ポスト石破」を巡る有力候補の姿を浮き彫りにした。調査によれば、党内で退陣圧力に直面しながらも、現職の石破茂首相(自民党総裁)は依然として21%の支持を得て首位に立った。これに続くのは自民党の高市早苗前経済安全保障担当相(14%)、小泉進次郎農林水産相(9%)、そして野党・国民民主党の玉木雄一郎代表(6%)である。
この調査は単なる数字の並びではなく、クロス集計や自由回答の分析を通じて、各候補の支持層の特徴や期待される理由を明らかにした。その一方で注目すべきは、33%もの回答者が「分からない」と答えた点である。「期待できる人物がいない」という無力感が背景にあり、自民党内の権力闘争に警鐘を鳴らす結果となった。
石破茂:高齢層と野党支持層に広がる「改革への期待」
世論調査によれば、石破首相の支持は明確に「高齢化」傾向を示している。18〜29歳では6%、30代では5%と若年層で低迷する一方、40代で12%、50代で21%、60代で24%へと上昇し、70歳以上では38%に達した。

政党支持別では、自民党支持層で42%を獲得し、高市(15%)、小泉(13%)を大きく上回った。連立与党の公明党支持層でも4割の支持を集めている。さらに意外なことに、立憲民主党支持層では33%を獲得し、野田佳彦代表(29%)を上回ったほか、共産党支持層でも2割超を確保して首位となった。
石破首相を支持する理由は「自民党改革への期待」が中心である。70代女性は「派閥政治にはうんざり。石破さんに任期を全うしてほしい」と語り、60代女性も「石破さんには黒い金や癒着を排除し、安定した政権運営をしてほしい」と期待を寄せる。こうした声は、石破氏を自民党の長年の病弊を断ち切る存在とみなす世論を反映している。さらに「野党とも協議できる姿勢を持つ」(40代男性)といった評価も見られた。
しかし支持は盤石とは言えない。支持者の中には「結局、誰がやっても同じ」(70代男性)、「本意ではないが他に適任者がいない」(70代女性)といった消極的な声も少なくない。これは情勢次第で支持率が急落するリスクをはらんでいることを示している。
高市早苗:男性と保守派の象徴、「初の女性首相」への期待を背負う
2位につけた高市早苗氏の支持層は極めて明確である。男性の支持率が19%と、女性の10%を大きく上回った。年齢別では若年層からの支持が目立ち、18~29歳で17%、30代で18%と、40歳以上の世代を上回っている。
政党支持の光譜では、高市はまさに保守派の寵児である。新興右翼政党の支持層では36%を獲得し、日本保守党支持層では4割を超えた。さらに、保守色が強いとされる国民民主党支持層でも24%の支持を得ている。 (関連記事: 石破茂首相が退陣表明 矢板明夫氏「台湾にプラス」 小泉・高市の対中・対台政策に注目 | 関連記事をもっと読む )

支持者の期待は「保守」と「財政」の二本柱に集中する。「保守派として日本を正しい方向に導ける」(20代男性)、「自民党に再び保守の背骨を取り戻させてほしい」(70代男性)といった意見が寄せられ、彼女のタカ派的立場への支持が示された。また、「財務省の言いなりにはならない」(60代男性)と積極的な財政政策を求める声もある。