第21回大阪アジアン映画祭が8月29日、大阪市福島区のABCホールで開幕した。オープニング・セレモニーには中国、香港、インド、日本、韓国、フィリピン、台湾、タイ、米国から19作品の監督や出演者ら35名以上が登壇。ゲストを代表して女優で歌手のジュディ・オングさんが挨拶し、満席の観客を前に「心は25歳です!」と笑顔を見せた。
セレモニーでは、大阪映像文化振興事業実行委員会の上倉庸敬委員長が「その土地からしか生み出せない音楽と光を楽しんでほしい」と開幕を宣言。続いて大阪市長のメッセージが代読され、「多彩で豊かな大阪の芸術文化を世界に発信したい」と意気込みを示した。
オープニング作品『万博追踪』(2Kレストア版)の舞台挨拶には、主演のジュディ・オングさんと台湾・国家電影及視聴文化中心(TFAI)のアーサー・チュウ理事長が登壇。同作は1970年の大阪万博を舞台に制作されたミュージカル・アクション映画で、台湾で修復され、今回が世界初上映となった。
チュウ氏は「映画修復で重要なのは美学を蘇らせることではなく、その時代の歴史や文化、魂を映し出すこと」と語り、ジュディさんの演技とともに注目してほしいと呼びかけた。これに対しジュディさんは「撮影は55年前、当時私は20歳でした!」とユーモアを交えて答え、会場の笑いを誘った。

さらにジュディさんは、前日に訪れた2025年大阪・関西万博について「1970年は未来や宇宙への期待に満ちていた。今回の万博は、未来に向けて私たちが何をすべきかを問いかけている」と語り、「映画をご覧になる皆さんはきっと驚くと思います。楽しんで!」と締めくくると、会場は大きな拍手に包まれた。

映画祭は9月7日まで、ABCホールやテアトル梅田など市内5会場で開催。20の国と地域から全68作品が上映され、85名を超えるゲストが来場予定。最終日のクロージング・セレモニーでは、グランプリをはじめ各賞が発表される。
編集:田中佳奈