舞台裏》台湾・台中市長の盧秀燕氏、国民党主席選挙には不出馬 党内外の勧誘も一蹴

2025-09-04 17:25
国民党主席改選の混乱の中、最有力候補である台中市長・盧秀燕氏が出馬を辞退した背景には、彼女の総統選への戦略的判断があった。(写真/顏麟宇撮影)
国民党主席改選の混乱の中、最有力候補である台中市長・盧秀燕氏が出馬を辞退した背景には、彼女の総統選への戦略的判断があった。(写真/顏麟宇撮影)
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台湾・国民党は8月23日に行われた大規模リコール投票で圧倒的勝利を収め、危機を回避した。しかしその直後、次期党主席をめぐる不安が党内で広がった。党内から大きな期待を寄せられていた台中市の盧秀燕市長は、8月24日、台中の産業や市民生活が厳しい状況にある今、「市長としての責務を全うする」と述べ、党主席選への不出馬を表明した。

現任党主席の朱立倫氏は再三にわたり盧氏に出馬を再考するよう呼びかけ、党内の支持者も勧誘を続けている。党内幹部会では、当初9月5日までだった党主席選挙の登録期限を2週間延長することが決まり、盧氏の心変わりを期待する動きもあった。

朱氏や党内の出馬支持派の圧力にもかかわらず、盧氏は一貫して不出馬の姿勢を崩さなかった。党内では一部の国会議員や支持者から「党主席としての重責を取らない盧氏は失望だ」との声も聞かれ、2028年の総統選に向けて台北市長の蔣萬安氏や立法院長の韓國瑜氏を推す案も浮上した。しかし、近しい関係者によると、盧氏の決意は固く、「天変地異があっても出馬はしない」という揺るぎないものである。

20250826-国民党主席朱立倫出席2025模擬立法院開幕式。(陳品佑撮影)
国民党主席の朱立倫氏は交代を決意し、中央常務委員会も党主席選挙の登録期間を延長して、盧秀燕氏の出馬を促した。(写真/陳品佑撮影)

出馬勧誘にも揺るがず、「不出馬は揺るがない」

党内では、盧氏の不出馬に苛立つ声もあった。過去の2020年・2024年総統選で党主席と総統候補が別であったことが敗北の一因となった教訓を踏まえれば、党主席に就くことは総統選勝利につながるという意見がある。しかし盧氏は代理出馬や特定候補への支持表明も行わず、あくまで市長職に専念する姿勢を貫いている。

盧氏の周囲によると、盧氏は総統選での勝敗は自身の知名度や世論支持率が鍵であり、党主席職を握ることは必ずしも必要ではないと判断している。党主席職は政治的エネルギーを消耗するだけで、総統選へのメリットよりデメリットの方が大きいと考えているという。加えて国民党の組織力は年々弱体化しており、党中央の選挙運営機能は限定的で、党主席職が総統選勝利に直結するわけではない。

親しい関係者は、2028年総統選を見据えた場合、盧氏が総統選出馬を決めれば党内に競合はなく、党主席に就く必要はないと語る。また、盧氏が市長として高い支持率を維持しつつ、2026年の地方選で党候補を支援できれば、8年間の市長任期を通じて選挙戦略上の資本を蓄えられる。さらに、台湾民衆党との協力関係も良好であることから、党主席に就くことなく、将来の総統選への道を整えられるとみられる。

20250426-国民党26日開催の「反緑共、戦独裁」イベントで、支持者は国旗を振っている。(顔麟宇撮影)
党内からの各種説得も、盧秀燕氏には耳にたこができるほど届いた。(写真/顏麟宇撮影)

国民党組織の弱体化 盧秀燕氏は選挙運営の実務効果を限定的と判断

国民党関係者によると、盧秀燕氏は総統選において勝敗を左右するのは総統候補者自身の知名度や世論支持率であり、党主席の座を握ることが必ずしも勝利に直結しないと考えている。むしろ党主席という職務は政治的エネルギーを消耗させ、総統選への影響はマイナスが大きいと判断しているという。また、国民党の組織力は近年徐々に弱体化しており、党中央は選挙の候補者選定には関与するものの、選挙戦の実務的効果は限定的だ。盧氏は党主席の役割を過大視せず、党務が安定して運営され、資金集めが順調であれば、言動が争点となって党のイメージを損なわない限り、党主席でなくとも問題ないと考えている。党内で突出した人物でなくても、党魁として務まると判断している。

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