台湾の食品薬物管理署(食薬署)は8月29日、福島を含む日本食品に対する輸入規制を全面的に撤廃する方針を発表した。今後は産地証明や放射能検査報告の提出、逐次検査が不要となり、最短で年末にも新制度が施行される見通しだ。
世界で残る規制国は中国・韓国・ロシアのみ
衛生福利部の石崇良部長は「福島第一原発事故から10年以上が経過し、世界で規制を継続しているのは中国、韓国、ロシアの3カ国のみ」と説明。台湾も国際社会と歩調を合わせるべきだと強調した。かつては53の国・地域が規制を実施していたが、現在は49が解除済みで、2024年には仏領ポリネシアも規制を撤廃している。
台湾でも安全性を確認
食薬署の姜至剛署長は「昨年だけで600万人以上の台湾人が日本を訪れ、安心して飲食を楽しんだ」と述べ、これまでの検査でも安全性が確認されていると説明した。2011年以降、福島・茨城・栃木・群馬・千葉の5県産食品を中心に延べ2万1717件を検査。14年間で26万3千件超のサンプルを検査したが、基準値を超えた例は一件もなかったという。
科学的根拠に基づく規制緩和
石部長は「国際的にも通常の原産地管理に戻っており、台湾としても科学的データに基づき対応すべきだ」と述べた。姜署長も「追加的な放射線被ばくリスクは無視できる水準であり、国際基準を踏まえて設定した台湾の規制値も十分に厳格だ」と強調した。
今後も長期監視を継続
今回の規制撤廃案は60日間の意見公募を経て正式決定される予定。姜署長は「今後も日本を含む全世界からの輸入食品に対し、放射能検査を継続する」と述べ、消費者の健康保護に努める姿勢を示した。
編集:柄澤南 (関連記事: 福島第一原発のALPS処理水、7月14日から第2回海洋放出へ 総量は約7,800立方メートル | 関連記事をもっと読む )
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