日本政府は、東京電力福島第一原子力発電所からのALPS処理水の海洋放出に関する国際的な監視体制の一環として、国際原子力機関(IAEA)によるタスクフォースが5月26日から30日までの間に訪日し、現地レビューを実施すると発表した。これは、外務省が5月20日に在日外国報道機関向けに配信したプレス資料によって明らかになった。
今回のレビューでは、放出後のモニタリングプログラムとその結果の評価に重点が置かれる予定だ。政府はIAEAとの協力のもと、引き続き必要な情報共有を継続し、国内外の理解を一層深めていく考えを示している。
IAEAタスクフォースには、アルゼンチン、英国、オーストラリア、カナダ、韓国、中国、フランス、米国、ベトナム、マーシャル諸島、ロシアの11カ国から選出された独立した立場の国際専門家が参加。ALPS処理水の安全性と透明性の確保に向け、定期的な技術的検証が続けられている。
ALPS処理水とは、福島第一原発の建屋内に存在する放射性物質を含む水を、多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System=ALPS)などで処理し、トリチウム以外の放射性物質を安全基準以下まで除去した水のことだ。海洋放出に際しては、この処理水を海水で大幅に希釈し、規制基準を大きく下回る水準での放出が実施されている。
IAEAによるこれまでのレビューは、処理水の放出前および放出後を含めて2022年から複数回実施されており、今回は放出後としては4回目の評価となる。日本政府はこうした国際的監視体制の下、科学的根拠に基づく透明性のあるプロセスを維持することで、国内外の信頼確保に努めている。
編集:田中佳奈
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