評論》台湾・民進党は「法律不要」?頼政権下で法のルールが形無しに──行政と立法の対立激化

2025-05-29 17:55
行政院による地方補助金の一方的な削減に加え、中央選挙委員会がそれを支持する姿勢を示し、疑念が広がっている。写真は立法院で質疑を受ける卓榮泰行政院長(左)と李進勇中選会主委(右)。(写真/顏麟宇撮影)
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「民進党が政権を握っている8年間、民進党が通したくない法律はあっても、通せない法律はない」。約9カ月間勾留され、さらに2カ月延長される元台北市長の柯文哲氏は、総統選挙前にこの言葉を述べた。当時、10年間棚上げされていた「両岸協議監督条例」に対するものだった。柯氏の考えは単純で、「我が党に必要」なら、民進党には法律は不要で、頼清徳総統は就任から1年でそれを存分に発揮したという。

この1年、国会で国民党と民衆党が協力して通過させた法律は、すべて民進党が望まない法律だった。再議や憲法解釈の請求は言うまでもなく、憲法裁判所が介入すれば、立法院の三読(三審議)を経て成立した法律が「無効」になる。国会改革法案はその典型例だ。憲法裁判所が未裁定の案件に関しても、立法院の三読議案は「形式上の文書」と化し、総予算案や財政配分法改正がその事例とされている。

総予算案を無視し、地方助成金を強制的に削減─自らのルールに反する行為

国民党と民衆党が中央政府の総予算案を削減したものの、頼内閣はこれを認めず、「大規模リコール(罷免)」の武器として利用した。大規模リコールは間もなく短期的な投票フェーズに入る予定で、頼内閣は続けて地方政府の「一般助成金」を大幅に削減した。行政院の説明によれば、財政配分法は中央が「裁量的補助」を明確に認めているが、新版の財政配分法では「前年度を下回ってはならない」とあり、適用は来年度からとなるため「違法ではない」という。

行政院の説明は一見理にかなっているように見えるが、実際はそうではない。まず、総予算案が立法院で三読され、再議に失敗した場合、行政院は法律に則って行動すべきだ。総予算案がいくら削減されても地方助成金に影響を与えない限り、行政院が勝手に削減することは「違法」であり、「共に難局を乗り越える」理由にはならない。裁量的な削減は各省庁が分担すべきで、立法院が削減を禁じた地方助成金には適用されないのだ。

次に、財政配分法には「裁量的補助」として中央が地方への補助を決定する権限が与えられているものの、「中央直轄市及び県(市)政府補助方法」が明確に定められている。行政院は地方助成金を減額できるが、それは実施効率や実績の評価結果に基づく必要がある。つまり、地方政府が予算を執行するにあたり問題がなければ、行政院は勝手に削減することはできず、そうでなければ中央が「違法」であり、地方政府の予算執行を無差別に「罰する」ことになる。その場合、行政院は各市県政府に「どこが不十分か」を明確に説明すべきだ。 (関連記事: 台湾芸能人が中国に「同調」?宣伝画像の転載で波紋広がる 民進党「政治的協力の疑い」 関連記事をもっと読む

三番目に、行政院が総予算案を立法院に送付する際、「法律の義務支出明細表」として送付し、一般助成金は法定義務支出で削減不可であることを明確に強調しているにもかかわらず、立法院は地方助成金を削減しなかったにもかかわらず、行政院が強制的に削減した。これは行政院が自らの首を絞める行為であり、また、「法律義務支出明細表」は公文書としての効力を持つため、行政院が「文書の偽造」か「違法規定」を認めるしかない状態だ。