大阪万博「台湾館」が消えたのは? 東大学者が解析:日中の裏での駆け引き、台湾が出席希望するも婉曲に断られる

2025-05-28 21:02
今年、大阪で開催される2025年万博で、主催者は「台湾館」という名称を表示させない方針を取った。(Facebookより)
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近年、台湾と日本の交流はますます緊密になりつつあり、両国政府は友好な関係を築こうとする意欲を示している。しかし、台湾と日本の関係にはいくつかの波乱が避けられない。例えば今年、大阪で開催される2025年万博では、「台湾館」の名称が許可されないという事態があった。これについて、日本に留学経験があり、東京大学で教える学者は、台湾が日本の立場を理解し、日台関係が最終的には中国、そして両岸関係の影響を受けざるを得ないことを認識するべきだと述べている。​

東京大学東洋文化研究所の特任研究員林泉忠氏が、国立清華大学での講演で、「台日関係と中国要因」をテーマとし、個人の経験と学術的実務経験から、今年注目されている大阪万博の「台湾館」に関する問題について、「台日関係」「中日関係」「両岸関係」の3つの側面で語った。講演には数十名の学生と台湾・日本のメディア関係者が出席した。

台日交流は中国要因を避けられない

林泉忠氏は、台日関係には「中国要因」が存在するとし、中日関係において台湾問題は北京が中日関係の「核心問題」と見なしていると指摘する。また、両岸関係の状況をも影響し、複雑な三角関係の動的なひずみを形成している。中国側は台日関係を常に注視しており、「歩み寄る」外交戦略を取るため、日本側の台湾に対するあらゆる行動が中国側に高く注意され、介入される可能性がある。そのため台湾は台日関係の考察において、この点を考慮する必要がある。

日本東京大学特任研究員林泉忠(左)、週一受清大日籍教授小笠原欣幸邀請,特別到清大演講。杜宗熹/攝影
東京大学特任研究員の林泉忠氏(左)が、毎週清華大学の日本人教授小笠原欣幸氏の招きで、清華大学で特別講演を行った。杜宗熹/撮影

日本の立場から、林泉忠氏は、安倍晋三元首相の時代には台日関係が大きく進展したと述べる。安倍氏は台湾に特別な感情を持ち、「心から台湾を愛し、台湾を大切にしている」という。しかし、他の日本の指導者にも同様の状況を求めることはできない。しかし現任首相の石破茂氏は、中日関係における役割について様々な解釈があるが、実際には「友台」な首相である。

林泉忠氏は、日本側は北京と国交を結んだ際の約束を厳格に守り、北京の「一つの中国」という表現を尊重しているため、台日が非公式かつ実務的な民間交流であっても、日本外務省の対中および対台政策の範囲から離れない。これにより、「日本を尊重するために(台日関係を考える際には)、中日要因を考慮する必要がある」と述べる。​

また、日本の国会議員田中早苗氏は4月7日に自身のソーシャルメディアで、国防部副部長柏鴻輝氏が4月初に日本を訪問したことを明らかにし、これらの動きは防衛大臣の中谷元氏が決定できるものではなく、さらに進んで石破茂氏本人の承認を得たものかもしれないと林泉氏は推断している。​

また、過去に台日間の軍事協力は極めて敏感な問題であり、一般的には「軍事対話」および「情報共有」のレベルにとどまるが、他分野での協力は非常に困難である。日本の自衛隊と国軍の両方がアメリカ式の武器装備を採用しているが、部品協力でさえ難しく、特に北京はそれを注視している。 (関連記事: 2026年に台湾有事?米軍は台湾を守らない──ワシントンで広がる「台湾切り捨て論」 関連記事をもっと読む

2024年11月、日本首相石破茂與中國國家主席習近平在秘魯會晤。(日本首相官邸官網)
学者林泉忠は、石破茂氏(左)が実際には「友台」な首相であると見ている。(日本首相官邸官網)

講演の中で林泉忠氏は、民進党が政権を取ると台日関係が良くなる印象があるという外界の見解があるが、国民党との関係も悪くないと指摘した。かつての蒋中正元総統の時代から、日本には最良の親友を派遣し、麻生太郎元首相と台北市長の蒋万安の交流、そして馬英九元総統が国内活動において日本の311地震災害者のために募金を行ったことなどを見ると、「国民党と日本の関係は民進党と比べて決して劣っていない」と述べた。