TSMC、台湾製チップに関税なら米工場建設を中止と警告

2025-05-26 17:40
郭正亮氏は、現在TSMCがアメリカで生産している量は少なく、約2万枚であり、これらはすべて国内で販売されていると述べた。さらに、将来複数の工場が完成しても10万枚に過ぎない。(写真/柯承惠撮影)

米国が最近、中国製半導体に対して世界的な禁輸措置を発動したことを受け、中国政府は21日、これに対抗して、米国の措置を実行または支援するあらゆる組織や個人に制裁を科すと発表した。この状況について、元立法委員の郭正亮氏はネット番組『大大平評理』に出演し、「TSMC(台湾積体電路製造)にはそれを跳ね返すだけの強い立場があり、“値段交渉”の余地がある」と述べた。

郭氏は、TSMCが米国側に対し、「台湾で製造された半導体に“合成チップ税”を課すなら、アリゾナ州での工場建設計画は停止する」と強く主張していることを明かした。その理由として、「TSMCは代替不可能な世界唯一の存在であり、だからこそ交渉の余地がある」と語った。

ただし米国のビジネス論理に照らせば、TSMCが米国で生産し、世界の他の半導体製品に税を課さなければ、米国製TSMC製品の価格が高騰し、販売面で不利になる可能性があると指摘した。

さらに郭氏は、現在TSMCが米国で製造している半導体の量はまだ少なく、約2万枚にとどまり、これらはすべて米国内で消費されているという。将来的に複数の工場が完成しても10万枚程度であり、米国が高性能チップの製造拠点になるには時間がかかる見通しだと述べた。また、米国製の半導体は台湾製よりも少なくとも50%高くなるとの見解を示し、「輸出できるだけの生産量に至るまで、米国は段階的に関税を導入するはずだ。なぜなら、現時点では競争関係がないからだ」と分析した。

郭氏はまた、「現在、米国製の半導体は国内需要を満たしておらず、追加で台湾からの輸入に頼っている」と指摘。米国製の価格は高いものの、Appleなどはトランプ前大統領に配慮し、購入を継続していると述べた。そして、「将来的に米国製半導体が内需を満たし、なお余剰が生まれた時こそ、本格的な価格競争が発生する」との見通しを示した。 (関連記事: TSMCが米国に抗議文 関税次第でアリゾナ工場「中止の可能性」も 関連記事をもっと読む

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編集:梅木奈実

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