五角大廈が朝鮮半島から兵力を撤退し、中国への抑止を優先する可能性が取り沙汰される中、米国のシンクタンクが本日、現在の2万8500人から1万人程度に在韓米軍(USFK)の兵力を削減することを提言する報告書を発表した。
韓国の連合ニュースは、ワシントンのシンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ」(Defense Priorities)が「米国の利益に合わせたグローバルな軍事配置の調整」(Aligning global military posture with U.S. interests)と題する報告書を発表したことを報じた。この報告書では、ソウル当局が朝鮮半島以外の地域の安全保障危機に対応するための在韓米軍資産の利用を制限する場合、在韓米軍の人数をさらに削減すべきと述べている。この報告書は、元米国防長官顧問のピート・ヘグセット氏の上級顧問であったダン・カルドウェル氏と、ディフェンス・プライオリティーズの上級研究員で軍事分析主任のジェニファー・カバナ氏が共同で執筆した。

「ディフェンス・プライオリティーズ」は、基地の安全に関係しない地上戦部隊、および米軍陸軍の通信、情報、指揮系統のユニットと、一部の支援・後方支援部隊を撤退させるべきと提案した。この削減により、第2歩兵師団の大部分が韓国から撤退し、ローテーション配備されている旅団級戦闘部隊や陸軍作戦航空部隊が対象となる。
さらに「ディフェンス・プライオリティーズ」は、韓国に展開している空中戦力を削減すべきとも述べ、在韓米軍基地にある2つの戦闘機中隊を米国に撤退させることを推奨している。同時に、約3分の1の空勤メンテナンスおよびその他の支援ユニットと人員も米国本土に戻すことが可能とされた。
この報告は全体的に、在韓米軍の総兵力を50%以上削減し、約1万人の人員と2つの戦闘機中隊(うち1つはより大きなスーパー中隊)と支援部隊を残す方針を示した。
残される地上部隊は主に支援、後方支援、補給、整備作業を担当することになるとされ、朝鮮半島で危機が発生した場合、戦闘行動の責任は韓国軍が担うものとされた。
報告書の著者は、中国の勢力に対抗し、米国の利益を守るために、東アジアにおける米軍の軍事配備を再調整すべきと主張しており、また米軍を中国沿岸から後退させ、日本やフィリピンなど他の同盟国に防衛の最前線における負担を移す必要があると強調した。
また、米国が世界的な軍事配置の見直しを行う際には、本土の防衛、重要地域における地域覇権の台頭を防ぐこと、責任を同盟国やパートナーに移譲すること、米国の経済安全保障を守ることの4つの優先項目に集中する必要があると述べた。
編集:佐野華美 (関連記事: 米シンクタンクが分析「中国は短期的な台湾侵攻には慎重」 警戒すべき「3つの兆候」とは? | 関連記事をもっと読む )
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