広告大手の電通(東京都港区)は8日、生成AIを活用してマーケティングプロセスを高度化する新ソリューション「People IMC Prototyping(ピープル アイエムシー・プロトタイピング)」の本格提供を開始すると発表した。ターゲット設定からコミュニケーション戦略の設計、施策立案、評価に至る4つのステップ全体を、AIと専門人材の知見により統合的に効率化するのが特徴だ。
従来のマーケティング施策では、ターゲット分析から企画立案まで数カ月を要するケースが多く、実行段階で新たな課題が発生することも少なくなかった。迅速な意思決定を実現するためには、初期段階での高解像度な設計が課題となっていた。

今回開発されたソリューションでは、同社が保有する行動データや市場調査データ、クリエイティブ領域の知見、戦略フレームワークなどを学習させた独自の生成AIを活用する。マーケターやクリエイターの視点とAIの処理能力を組み合わせることで、質の高いコミュニケーションプランを短期間で作成・検証できる仕組みだ。さらに、AI活用を前提としたワークショップも提供し、戦略立案から実行までのプロセスを大幅に短縮できるとしている。
対象業種は化粧品や食品といった消費財領域に加え、BtoBサービス、金融、EC、ヘルスケア、地方創生、観光促進分野まで多岐にわたる。小売業界では店頭販促のアイデアを大量に開発・検証し、ディスプレイやキャンペーン施策のPDCAサイクルに活用することが可能だ。また、スピードが重視されるスタートアップ企業においては、複数の戦略・戦術案を迅速に策定し、素早い意思決定の支援につながるという。
電通では今後も生成AIを活用したサービスの拡充を図り、顧客企業の持続可能なビジネス基盤構築と豊かな社会の実現に貢献する方針を示している。
編集:田中佳奈
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