「ググる」はもう古い?検索帝国・Googleに前例なき危機 「ググる」時代からAI時代へ移行か

2024年8月10日。男性がロンドンのキングス・クロス地区にあるGoogleのオフィスを歩く。(AP)

過去20年以上、人々が何か知らないことを知りたいと思ったとき、「Googleで検索する(=ググる)」ことがほぼ共通の行動様式となってきた。この行動が、検索エンジンを原点とする「Google帝国」の確立を支えてきた。しかし最近、Appleの幹部が明かしたところによれば、Safariブラウザを通じたGoogle検索の件数が、過去2カ月間で減少しており、「こうした現象は20年以上なかった」と述べている。

Appleのサービス部門上級副社長エディ・キュー(Eddy Cue)氏は、米国司法省が提起したGoogleに対する反トラスト訴訟において証言台に立ち、この検索数の減少について、ChatGPTやPerplexityなどの生成AIサービスを利用する人が増えていることが原因だと証言した。

この証言が報道された後、Googleの親会社Alphabetの株価は7%以上急落し、時価総額にして約2,500億ドルが消失した。Appleの株価も終値で1%以上下落した。というのも、GoogleとSafariの提携は、Appleに年間200億ドル以上の収益をもたらしているためである。

現在、Googleは米連邦政府による反トラスト訴訟に巻き込まれている。米政府は、Googleがインターネット検索分野で圧倒的な地位を築いていることで、Microsoftのような大手競合ですら市場に参入することがほとんど不可能になっていると主張している。調査会社Statcounterの最新データによれば、Googleは依然として世界の検索市場で89.7%のシェアを占めており、2位のMicrosoft Bingはわずか3.9%にとどまっている。今やGoogleは訴訟で敗訴するリスクだけでなく、生成AIという新たな強敵との競争にも直面している。

Googleの市場シェアは、ChatGPTが登場した当初の93%からわずかに下がっただけであるが、問題はこの6カ月間の大半でシェアが90%を下回っている点であり、これは過去10年間で初めての事態となっている。ChatGPTを開発したOpenAIによると、今年4月時点でChatGPTの週次アクティブユーザー数は約4億人に達しているという。皮肉なことに、競争を前にして浮き彫りとなったGoogleの「脆弱性」は、むしろ政府による強制的な企業分割に反対するための有力な論拠となる可能性もある。

収益面では、Googleは依然としてAIを大きく上回っている。調査会社MoffettNathansonのアナリストは、AIチャットボットを通じた検索クエリの「大多数」は本質的に商業価値を持たないと分析している。しかし、Googleの親会社Alphabetの株価は、過去12カ月で約12%下落しており、7日時点の予想株価収益率(PER)は16倍を下回った。これは12年ぶりの水準である。

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