米国のドナルド・トランプ大統領は8日、英国との間で貿易協定の枠組みに合意したと発表する可能性がある。これは、トランプ氏が2期目に入り「解放日関税」を宣言して以来、初めての貿易協定となる。関係筋によると、この協定には関税調整が含まれる見込みで、ホワイトハウスが同盟国および競合国に課した関税を基盤とした一連の貿易協定の幕開けとなる。
トランプ氏は7日深夜、自身のSNS「Truth Social」で「重要かつ尊敬される国との合意」であると予告。法律事務所ワイリー・レイン(Wiley Rein)のパートナーであるティム・ブライトビル氏は『ウォール・ストリート・ジャーナル』に対し、「今回の発表は交渉開始の協定であり、今後議論される課題の枠組みを定めるものだ。関税率、非関税障壁、デジタル貿易が議題に挙がると見られ、いずれも非常に難題だ」と語った。
この英米貿易協定は、トランプ氏の2期目における初の協定となる。米政府関係者によると、米国はインド、日本とも緊密に協議を進めており、トランプ氏は来週、中東訪問に乗り出す予定だ。
米国は先月、英国を含むほとんどの輸入品に10%の基準関税を課し、英国からの鉄鋼・アルミニウム製品についても3月12日から25%の関税を適用している。英国側は鉄鋼・自動車に対する25%の高関税の引き下げを望むが、関係者によれば10%の基準関税は維持される可能性が高いという。交換条件として、英国は米国の大手テクノロジー企業に課しているデジタル税の見直しを検討している。
米国は英国にとって最大の単一貿易相手国であり、英国政府は「両国間の貿易関係はおおむね均衡している」と強調。トランプ氏自身も、英米間の合意について楽観的な見方を示してきた。
最近、トランプ氏は複数国に対する追加関税を一時見送って交渉の余地を残しているが、10%の基準関税および中国製品に対する高関税は維持しており、これが多くの生活必需品の値上げにつながっている。ただ、トランプ氏は物価上昇の問題については軽く受け流しており、先週は「子供は30個ではなく2個の人形で十分だ」とコメント。とはいえ、彼の予測不能な貿易政策は世界の主要株価指数の下落を招いている。
米財務長官のスコット・ベッセント氏は、アジア諸国との貿易協定を優先課題の一つと位置づけている。副大統領のJD・バンス氏は7日、ワシントンで「米国は友好国・競争国を問わず『ほとんどの国』と接触している。われわれが求めているのは、もう少しの公平さ、つまり大統領の言葉を借りれば『対等』だ」と述べた。 (関連記事: 米国、半導体関税発表へ 台湾・行政院『意見書を提出済み』 | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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