教皇名に込められた意味 :「良」名復活なら伝統回帰の証? 単なる呼称を超えたカトリック教会の転換点を告げる重要性

2025年4月27日。枢機卿たちは、サンピエトロ広場でパロリン枢機卿(Pietro Parolin)が司式したミサに出席した。(AP)


ローマ・カトリック教会は5月7日から枢機卿会議を開催し、教皇フランシスコの後継者を選出する。一連の伝統的な儀式が注目されるなか、次期教皇がどのような名前を選ぶかについても関心が高まっている。この新しい名前は、数世紀にわたるカトリックの歴史を担うだけでなく、教会の将来的な方向性も反映するものとなる。

CNNによると、教義上の強制規定はないものの、新たな名前を選ぶことは中世以来、新教皇即位の重要な儀式の一つとなっている。この習慣はどのように始まったのか、異なる教皇の名前にはどのような意味があるのか、次期教皇はどのような名前になる可能性があるのか、又、どのように発表されるのでしょうか。

教皇はなぜ改名するのか

初代教皇の聖ペトロの本名はシモン。彼はイエスの12使徒の中で最も優れた一人であり、ペトロという名前はイエスが彼に与えたものだが、それは彼が教会の指導者になる前のことだった。

それから500年後、教皇ヨハネ2世(在位533年〜535年)が初めて教皇の改名の先例を作った。彼の本名はメルクリウスで、ギリシャ神話の異教の神の名前だったため、正統的なキリスト教の名前を持つ必要があると感じたのだ。

次に改名した教皇は10世紀のペトロ・カネパノヴァ。ダラム大学カトリック研究センターの准教授リアム・テンプル氏によると、彼は「ペトロ2世」を名乗ることを避けたため、ヨハネ14世と改名した。

10世紀以降、教皇に選出されると改名する慣習が徐々に広まった。特にフランスやドイツ出身の教皇たちは、先人に倣ってイタリア風の名前を選ぶことが多くなった。CNNによると、それ以来「改名」は慣例に。16世紀のマルチェルス2世やアドリアヌス6世など、ごく少数の教皇だけが自分の洗礼名を保持した。

教皇はどのように名前を選ぶのか

各教皇の名前の背後には特定の歴史的背景と象徴的な意味があり、前任教皇や聖人の業績や評判に関連している。テンプル氏はCNNに対し、必ずしもそうではないものの、多くの教皇は危機の中で改革を断固として進めた、あるいは非常に人気のあった前任者に敬意を表し、その名前を選ぶことが多いと語った。

例えば、教皇フランシスコは聖フランチェスコ・アッシジに敬意を表して名前を選んだ。聖フランチェスコは平和を尊び、自然を愛し、貧しい人々に関心を寄せ、宗派間の協力を重視していた。これらの価値観は教皇フランシスコの在位中の優先事項となった。

彼の前任者である教皇ベネディクト16世は、平和と和解への取り組みを示すため、聖ベネディクトと第一次世界大戦中の教皇であったベネディクト15世に敬意を表して名前を選出。 (関連記事: 「民主主義への第一歩は、メディアと大学への攻撃!」ノーベル賞受賞者スティグリッツ氏、トランプ2.0を厳しく批判 関連記事をもっと読む

2025年5月3日。枢機卿ジャン=ポール・ヴェスコがサン・ピエトロ大聖堂で行われたミサに出席。(AP)
2025年5月3日。枢機卿ジャン=ポール・ヴェスコがサン・ピエトロ大聖堂で行われたミサに出席。(AP)

使えない名前はあるのか

CNNによると、新教皇が「ペトロ」という名前を選ぶことはほぼあり得ない。これは初代教皇聖ペトロへの敬意からだけでなく、「ペトロ2世が最後の教皇になる」という何世紀も伝わる予言があるため、この名前がタブーとなっているのだ。