天皇ご一家の生活費360万円を侍従職が窃取か 宮内庁が刑事告発、懲戒免職に

天皇・徳仁陛下と雅子皇后。(AP通信)

宮内庁は1日、天皇皇后両陛下およびご一家の私的生活費に充てられる「内廷費」から、20代の侍従職職員が現金計360万円を盗んでいたとして、この職員を懲戒免職処分とし、窃盗の疑いで皇宮警察に刑事告発したと発表しました。

調べによると、この職員は2023年11月から2025年3月まで、宿直勤務中に事務室で繰り返し金銭を盗み、多い時には1回で数十万円に上ることもありました。今年3月下旬、帳簿と現金の残高が合わないことに気付いた課長補佐級職員が確認を進めた結果、当該職員が3万円を盗んだことを認め、さらに過去の盗難も自白したことで全容が発覚しました。

この職員は「金銭的に困っており、生活費に充てた」と説明しており、4月中に全額を弁済済みです。宮内庁によると、内廷費の窃盗被害が確認されたのはこれが初めてとのことです。

宮内庁はまた、内廷費の管理を怠ったとして、40代の課長補佐級職員を1か月間減給10分の1の懲戒処分としました。

西村泰彦宮内庁長官は、「国家公務員として、また皇室の活動を支える宮内庁職員として到底許されない行為であり、誠に遺憾であります。天皇皇后両陛下をはじめ皇室の皆さま方に対し、深くお詫び申し上げます。綱紀の厳正な保持を徹底し、再発防止に全力を挙げます」とコメントを発表しました。さらに、侍従職の事務主管に対して監督責任を問う訓告を行い、再発防止策の徹底を指示したとのことです。

この問題は日本国内でも波紋を広げ、弁護士の紀藤正樹氏はSNSで「世も末」と嘆く声を上げるなど、国民の間にも衝撃が走りました。内廷費は本年度3億2400万円が支出され、天皇ご一家や上皇ご夫妻の日常生活の費用に充てられており、国民の関心も高い分野です。

宮内庁は今後、管理体制の見直しを急ぐとともに、職員一人ひとりの服務規律の徹底を図る方針です。

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