台湾の頼清徳総統は昨日(28日)、総統府で自民党の前経済安全保障担当大臣・高市早苗衆議院議員と訪問団を接見した。頼総統は、日本政府が国際社会において台湾海峡の平和と安定の重要性を繰り返し訴えていることに謝意を示すとともに、半導体、エネルギー、AI技術といった分野で台湾と日本が連携を深め、「非レッドサプライチェーン」の構築を通じて、両国の経済的レジリエンスと産業競争力を高め、インド太平洋地域の繁栄と発展に貢献したいとの意向を表明した。
高市氏は2024年、自民党総裁選において現職の石破茂氏と争い、麻生太郎副総裁の支援を受けて決選投票に進んだ経歴を持つ。頼総統は歓迎の辞を述べ、高市氏の再訪台を喜ぶとともに、黄川田仁志衆議院議員、尾崎正直衆議院議員、佐藤啓参議院議員と共に交流できることに感謝の意を示した。また、高市氏がインド太平洋戦略シンクタンク主催の国際政経フォーラムにおいて講演し、台日関係の重要性を強調したことに対し、深い謝意を表明した。
頼総統は、台湾と日本が民主主義、自由、人権といった普遍的価値観を共有し、国民同士の絆も深いことに言及し、地域の平和と安定に寄与していきたいと述べた。
さらに、就任以来、頼政権は「社会全体の防衛レジリエンス」の推進と「平和のための四大支柱行動計画」の実施に力を入れてきたと説明。国防強化、経済安全保障の構築、両岸関係の安定、民主主義国家との連携深化を通じて、インド太平洋および台湾海峡の平和維持に取り組んでいると述べた。また、翌日に訪問団とともに高雄市で安倍晋三元首相の銅像を参拝する予定であり、生前に台湾を力強く支援した安倍氏への感謝の意を改めて表明。「台湾有事は日本有事」という理念は、今なお台湾の人々の心に深く刻まれていると強調した。
頼総統は、中国による「紅色サプライチェーン」の拡大に対抗するため、台湾と日本が重要な経済パートナーとして、半導体、エネルギー、AI技術といった分野で緊密に協力し、サプライチェーンの強靭化と産業競争力の向上を図るべきだと呼びかけた。さらに、来賓らの支援のもと、台湾が早期に「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)」に加入し、日本との間で経済連携協定(EPA)を締結できることを期待していると述べた。
高市早苗氏は、台湾の温かい歓迎に感謝を述べ、訪問団メンバーは皆、安倍元首相の理念を受け継ぎ、台日友好への信念を持っていると語った。台湾と日本はいずれも島国であり、海上交通の安全保障が密接に関係しているため、地域情勢の不安定化は食料、エネルギー、サプライチェーンの安全に重大な影響を及ぼすと指摘。供給網の強靭性を強化するため、協力をさらに深める必要があると訴えた。
また、高市氏は、台湾が世界最先端の半導体技術を有していることに触れ、AI、半導体、量子コンピューター、デュアルユース(軍民両用)産業、新エネルギー技術の分野において、台日間に大きな連携の可能性があると述べた。さらに、非政府間レベルでの交流と情報共有を引き続き推進し、将来のリスクに備えるべきだと提言。台日間の経済連携協定締結への支持も改めて表明した。
この日の会談には、黄川田仁志衆議院議員、尾崎正直衆議院議員、佐藤啓参議院議員に加え、「日本台湾交流協会」台北事務所の片山和之代表が同席した。台湾側からは、総統府国策顧問の陳天隆氏、外交部長の林佳龍氏、「台湾安倍晋三之友会」会長の陳唐山氏、台湾日本関係協会事務局長の范振国氏、さらに総統府秘書長の潘孟安氏と国家安全会議秘書長の呉釗燮氏が出席した。 (関連記事: 高雄が台日産業協力と都市ガバナンス交流を深化 林欽榮副市長が率いる代表団が熊本県市を訪問 | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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