台湾の人気バンド「消火器(Fire EX.)」は昨年9月8日に日本ツアーを開始、11日には「火大啦」の東京公演を行った。公演前に『風伝媒』の独占インタビューに応じたボーカルの大正は、今回の日本訪問には特別な意味があると語った。金沢から東北まで、日本のパンクレジェンドバンド「HUSKING BEE」との共演は、消火器に大きな影響を与えたバンドとの共演となるからだ。最近の社会情勢について、「対立を煽る道具として利用されることを意識しているので、今は慎重に行動し、作品とライブに集中するようにしている」と話した。
消火器バンドはボーカルの大正、ギターの宇辰、ベースの皮皮、ドラムの柯光で構成される。2024年5月の青鳥運動の際、大正はSNSで「過去、消火器は台湾のために多くの曲を書いてきた。必要なら自由に使ってほしい。戦う時は著作権のことは気にしないで!」と投稿。インスピレーションがあれば曲を書くが、新曲よりも新世代のミュージシャンが立ち上がり、正義と才能で2024年に必要な戦歌を書いてくれることを期待していると語った。

SNSの使い方の変化 大正:悪意や対立を煽る言論が多い
公演前ということもあり、大正は穏やかな口調で語った。近年の心境の変化について、SNSの発展により人々の使用習慣が大きく変わり、対立を煽る言論や悪意が増えていることを懸念していると述べた。「この土地に生きる者として、みんなで運命を共有すべき。意見は異なっても、この国にとって最善の合意を見出すための対話が必要。過度に対立を煽るのは望んでいない」と強調した。
近年の発言について、「自分が対立を煽る材料にされることを意識するようになった。だから今は慎重になり、作品と公演に集中したい」と語り、「音楽やライブは人々を結びつける手段であり、今の台湾には『団結』が必要だ」と述べた。11日の公演では、いつものように力強く〈欲走無路〉でオープニングを飾り、大正が影響を受けたというHUSKING BEEのボーカル磯部正文も共に歌った。
音楽のルーツとなったバンドとの共演 特別な意味
今回の日本公演の意義について、大正は「HUSKING BEEは消火器に非常に大きな影響を与えたバンド。彼らの結成30周年ツアーに参加できるのは特別な意味がある。20年前に自分の音楽の趣味を形成し、啓発してくれた人たちの30周年記念公演に参加できるのは大変光栄なこと」と語った。この10年間頻繁に日本を訪れていることについて、「日本のファンが喜んでくれて、毎回観客も熱狂的。しばらく会えないと、みんなの反応がとても良い」と話した。 (関連記事: 2025大阪万博「Kaohsiung かいわい 高雄界隈」が日本の旅行新トレンドに | 関連記事をもっと読む )
日本での数多くの公演の中で特に意義深いものについて、「FUJI ROCKは消火器にとって重要なマイルストーン。2020年に招待された時は結成20周年だったが、コロナで中止に。2022年に再開催された時、改めて招待してくれたことは本当に嬉しかった。メインステージでの演奏は夢のような舞台で、大きな励みになった」と振り返った。