台湾・新北市中和区景平路の住宅で28日未明、二人の遺体が発見される事件が発生した。遺体は56歳の日本人男性と、61歳の台湾人女性(林氏)で、いずれも腐敗が進んでおり、死亡から相当な時間が経過しているとみられる。
元夫婦、同居先で死亡 事件性は低いか
調べによると、住宅の大家である王氏は56歳の日本人男性・倉田に部屋を貸していたが、最近になって連絡が取れず、室内にも物音がせず、玄関が内側から施錠されていたことから異変に気づき、28日午前2時ごろに警察に通報した。
警察と消防が到着後、大家の立ち会いのもと室内に突入。玄関付近で倉田が死亡しているのが発見され、寝室のベッド上では林氏の遺体が見つかった。いずれもすでに死亡しており、救命措置は行われなかった。
現場の鑑識では、室内に争った跡や遺書は見当たらず、他殺の可能性は低いとみられている。警察は新北地方検察署に報告し、検察官指揮のもと司法解剖を進める方針だ。
離婚後も30年間、元妻の介護を続けた倉田氏
警察の調べによれば、倉田と林氏は若い頃に結婚したが、林氏は20代の時、手術の失敗により重度の障害を負い、以後、寝たきりの生活を強いられた。
その後、二人は離婚したものの、倉田は林氏のもとを離れることなく、30年近くにわたりただ一人で介護を続けた。外出もほとんどせず、二人は長年、孤立した生活を送っていたとされる。長期にわたる精神的な負担が、今回の悲劇を引き起こした可能性があるとみられている。
男性が先に自殺、女性は餓死か
警察は、倉田が介護疲れから精神的に追い詰められ、自殺を図った可能性が高いとみている。倉田の死後、介護者を失った林氏は食事をとることができず、最終的に餓死したとみられる。
死亡推定時刻についてはかなりの時間が経過しており、遺体の腐敗も進んでいるため、詳しい死因や死亡時期については今後、検察官と法医学専門家による解剖で確認が進められる。
現在、警察は林氏の親族および大家の王氏から事情を聴取しており、二人の死に至る過程や他に関与した要因がないか慎重に調査を続けている。
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編集:梅木奈実 (関連記事: 外国人女性、東京のアパホテルで「ベッド下に男」恐怖体験 ホテル対応に疑問の声 | 関連記事をもっと読む )
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