習近平政権、一部米製品に静かに譲歩 中国経済の弱点が露呈か

中国経済、北京の商店街。(AP通信)
目次

《ウォール・ストリート・ジャーナル》は26日、関係者の話として、中国政府が一部の米国製輸入品に対する報復関税をひそかに免除していると報じた。対象となった商品は、中国側が他の供給先から迅速に調達できない重要品目であり、中国経済が一部重要分野において脆弱性を抱えていることを浮き彫りにした。

《ウォール・ストリート・ジャーナル》によると、中国当局は一部の米国製品の輸入業者に対し、最近追加された125%の関税引き上げを免除する旨を通知したという。免除リストには、特定の半導体やチップ製造装置、医療製品、航空機部品が含まれており、中国がこれら重要産業分野で米国との貿易に依存し続けている現状が示されている。ハイテク、航空宇宙、製薬といった分野では、依然として米国製の原材料や設備が不可欠とされる。

こうした現象は中国側に限らず、米国政府もまた、中国製スマートフォンやノートパソコン、その他電子製品に対して関税免除措置を発表しており、WSJはこれもまた米中相互依存の現実を示していると指摘している。

トランプ前政権が中国からの全輸入品に20%の「フェンタニル関税」を課した後、中国はエネルギー製品や特定車両などの米国製品に報復関税を発動した。今年4月2日、トランプ氏が「解放日」として中国製品全体に34%の追加関税を課すと発表したことを受け、中国もすべての米国製品に対し報復関税を拡大、最終的に税率を125%に引き上げた。

免除対象となった品目

半導体業界関係者2人によると、4月24日以降、中国税関は米国製の8種類のチップ(CPUを含む)に対する関税を撤廃した。ただし、米国製メモリーチップには依然として関税が課されているという。インテル(Intel)やテキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)の製品の多くは免除対象となった一方で、マイクロン・テクノロジー(Micron Technology)の一部メモリーチップ製品は対象外となった。

また、北京当局は産業用化学品(石英やエタンなど)、リソグラフィー装置、ヘリコプター、ワクチンといった米国製品を含む、関税免除の可能性があるリストを準備しているとされる。関係者によれば、このリストは今後の議論次第で修正される可能性があるという。

米中貿易戦争の激化に伴い、中国政府はどの米国製品を関税免除とすべきか慎重に精査してきた。関係者は、北京がこうした免除措置を公に発表しないのは、自国経済の構造的脆弱性をさらけ出すことを避けるためであり、また今後の政策調整や交渉余地を確保する意図もあると説明している。 (関連記事: 知名ECサイト大手が破産宣告!年商9億円も「中国低価格競争に勝てず」、23年の経営を経て市場から撤退 関連記事をもっと読む

この免除計画は複数の政府部門が関与しており、国務院関税税則委員会が統括している。米国商工会議所中国部会のマイケル・ハート会長は、中国政府が現地に進出している米国企業に対し、どの部品が代替不可能かを調査していると述べた。ハート氏によれば、製薬企業の一部製品も125%関税の免除対象となったという。