台湾・台中は民進党が政権を握る県市ではないにもかかわらず、今回のリコール戦においてターゲットにされた。なぜ民進党は台中にこれほど大きな手を打ったのか。民進党内部の関係者によると、たとえ最終的にリコール案が否決されたとしても、国民党に実質的なダメージを与えることができるからだという。民進党の台中での勢いは徐々に回復しており、過去の低迷状態とは様相が異なっている。この関係者は、最近の国民党の対応策や動員力がかつてほどではないと指摘し、民進党はチャンスを見極めた上で、リコールが投票段階に入れば台中は攻めにも守りにも活用できる戦略的要地になると述べた。
民進党は、現在台中に6議席を持つ国民党の立法委員について、顔寬恒、楊瓊瓔、江啓臣のリコールは難しいと見ているが、市内選出の羅廷瑋、黄健豪、廖偉翔に対してはより楽観的な見方をしている。民進党は、2024年の立法委員選挙では、台中市長盧秀燕の行政優位により市内の民進党立法委員が全滅したものの、今回のリコール運動では手加減せず、対抗勢力を「殺さずとも重傷を負わせる」ことを狙っている。そして、民進党の真の狙いは国民党の立法委員だけではなく、実は「鴻門之会の剣の舞」、つまり「一石二鳥」を狙ったものである。

項荘剣を舞う、意は沛公にあり 民進党の台中リコールに秘められた布陣
民進党が台中をリコール重点地域に指定した理由は、単に立法委員の議席を狙うだけでなく、基層から盧秀燕市長への不満が高まっていることにある。特に台中での工事事故の多発などが民意を刺激している。2026年の台中市長選はまだ正式に火蓋を切っていないが、国民党・民進党両陣営はすでに水面下で角逐を始めている。大規模リコールの効果によって民進党の勢いはさらに加速しており、これを利用して市長選挙を押し進めたい考えだが、もっと重要なのは、2028年の総統選出馬を目指す盧秀燕を「レームダック」させることである。
民進党内部の関係者は、リコールが投票段階に入れば、たとえ失敗に終わっても相手に大きなダメージを与えられると指摘する。過去には、林鴻池、呉育昇、蔡正元といった前立法委員たちがリコールを受け、再出馬できなかったり、落選したりした例がある。今回も盧秀燕率いる台中の立法委員たちをターゲットにすることで、背後にいる盧秀燕を打撃するのは不可能な任務ではないとして、今後の情勢展開に注目している。
台中市長選、国民党江啓臣がリードも 民進党は逆転に望み
地方選挙に関して、民進党内部の関係者は、台中における国民党・民進党の対決はますます拮抗しており、民進党の支持率も回復傾向にあると分析する。これは基層組織の動きが持続的に発酵していることの表れであり、特に国民党台中市の複数の立法委員がリコール第2段階を通過する可能性がある中で、民進党にも次期市長選で勝機があると見ている。 (関連記事: 舞台裏》調査局の「心得た」ビデオ会議 罷免連署偽造事件の捜査が国民党に向かう | 関連記事をもっと読む )
TVBSの世論調査センターが1月に発表した世論調査によると、国民党が江啓臣を擁立した場合、民進党の候補者に対してすべてリードしている。民進党側では蔡其昌が最も有力であり、江対蔡の一騎打ちでは江啓臣が43%、蔡其昌が36%の支持率を獲得し、両者の差は7ポイントだった。さらに交差分析では、40歳未満の若者層では蔡其昌の支持が江啓臣を上回り、40歳以上では江啓臣がリードしていることが分かった。仮に民進党が何欣純を擁立した場合、江啓臣の支持率は50%、何欣純は26%で、その差は約24ポイントとなっている。