「不屈の闘士」と自らを位置づける大統領にとって、重要政策における後退は、間違いなく彼の政治ブランドに打撃を与えている。トランプ氏の波乱に満ちた第2期政権がまもなく発足100日を迎える中、支持率の低下が、彼に過剰な目標の修正を迫っているようだ。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』
トランプ氏の支持率低下は、彼に雄大な施政目標を修正させる圧力となっているようだ。
最近、トランプ政権は多くの重要政策で発言を軟化させ、アメリカが完全にこの衝突から撤退する可能性も出てきた。例えば、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の更迭を見送る意向を示したこと、中国への関税について「それほど高くはない」と発言した(ただし後に「中国が実質的な行動を取らなければ関税は引き下げない」と述べた)、平和案が受け入れられなければ米国はロシア・ウクライナ戦争の調停から完全撤退する可能性があること、マスク氏が先週、政府効率化省からの撤退と目標の90%削減を発表したことなどが挙げられる。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、「『絶対に屈しない(never surrender)』を標榜する大統領にとって、こうした政策転換は極めて異例だ」と指摘している。
トランプ氏、もはや力及ばず
ホワイトハウス関係者はトランプ氏の「立場変更」を否定しているが、ホワイトハウス報道官カロライン・リーヴィット氏は次のように述べた。「トランプ氏は最初の100日間で数百の公約を果たし、国境の安全確保とインフレ緩和という二大公約を達成した。次の100日間は、貿易協定、和平合意、減税政策に焦点を当て、アメリカにさらなる栄光の時代をもたらす。」
トランプ氏の譲歩は単なる政策の転換にとどまらず、もはや力不足が露呈している。例えば、トランプ氏は先週、中国との貿易交渉が進行中であると繰り返し主張したが、中国政府はこれを否定し、トランプ氏の財務長官ベセント氏ですら「知らない」と答えた。中国中央テレビはトランプ氏に「万税爺(万の関税おじさん)」というあだ名をつけ、微博(ウェイボウ)では「トランプ弱気になった」がトレンド入りした。
同時に、トランプ氏はロシア・ウクライナ戦争を止めることもできず、プーチン大統領はトランプ氏の最後通告を無視した。トランプ氏はSNS上で「ウラジーミル(プーチン)、やめろ!」と呼びかけるしかなかった。かつてトランプ政権改革の中核人物だったマスク氏も、現在は自身の企業(特にテスラの利益が71%急落したこと)に注力するとして、2兆ドル規模の連邦予算削減という壮大な目標も、現時点では10分の1しか実現できそうにない。 (関連記事: トランプ関税戦略の真相解明 胡一天分析:米国9兆ドル国債満期危機、台湾の戦略的対応が転換点になる可能性 | 関連記事をもっと読む )
トランプ氏の政治的「才能」か「詐欺」か
多くの観察者は、トランプ氏の壮大な公約を「風見鶏」のようだと考えている。前副大統領ペンス氏の元首席補佐官マーク・ショート氏は、トランプ氏が政策上の譲歩を自分の強みに変える能力があると語ったが、今回の関税引き下げの動きは異なると考えている。