サマーソニックと連携、音楽とアートが交差する「転調の光景」
音楽とアートの融合を通じて日本を文化芸術の発信拠点へと成長させるプロジェクト「MUSIC LOVES ART 2025」が、8月15日から大阪と幕張で同時に開幕した。日本を代表する音楽フェスティバル「サマーソニック」との連携により展開され、世界に広がる作品創出をめざす。

会期は会場ごとに異なり、大阪市内の梅田・中之島・堀江・心斎橋エリアでは31日まで、サマーソニック大阪会場(吹田市・万博記念公園)では16日と17日、幕張メッセやJR海浜幕張駅前、QVCジャパン本社、イオンなど幕張エリアでは15日から31日まで多彩な展示が行われる。(※作品によって展示期間は異なる。)

「転調の光景」をテーマに都市空間を変容
今年のテーマは「転調の光景」。音楽における転調がもたらす心のざわめきを、公園や都市空間、日常の風景に重ね合わせて表現する。主催者は「公共空間を舞台にすることで、行政や企業、アーティスト、市民がフラットに参加できる仕組みをめざした」と説明。環境省が掲げる「自然公園法」制定70周年(2027年)を見据え、自然と都市計画、防災や景観形成を再考する契機とする狙いもある。

大阪会場―万博記念公園から萬福寺へ
万博記念公園では、メディアアートの先駆者・高橋士郎による全長約45メートルのバルーン作品《夢夢夢(むむむ)》が登場。夢と現実を往来する世界を象徴する巨大インスタレーションとして来場者を幻想的な空間へ誘った。
堀江公園と萬福寺では、大阪出身の写真家・森山大道による特別展《SHOOTING LIGHT》が開催。堀江公園にとっては開園以来初のアート展示で、戦後復興と都市再生を重ね合わせる場となった。

萬福寺では遠州流茶道と現代アートを融合させた《Letters in the Air》が披露され、香りの和紙や水琴窟を使った空間演出と茶道体験が伝統と現代の交錯を生み出している。
中之島公園では、自動運転型遊具《CORO-IMAGINE》や虹色の造形作品《WATARIDORI》、映像と音楽を組み合わせた《MODULATION》なども展示され、都市の中心を音と光で彩る。
幕張会場―フェスと街をつなぐ
幕張メッセ正面階段では、AUTOMOAIの新作《UNTITLED》が大階段を舞台に音楽活動の原点や転機を象徴的に表現。JR海浜幕張駅前では、風鈴構造を取り入れた楽器作品《Resonant Materials》が風と音楽の共鳴を体験させた。QVCスクエアでは《Sound in Motion》が公開され、来場者の動きを抽象的なダンスに変換するインタラクティブ作品として注目を集めた。
また街中のデジタルサイネージでは、サマーソニック出演アーティストとコラボレーションした映像作品「MUSIC LOVES VISION」が上映され、都市全体が音楽とアートのインスタレーション空間へと変貌した。
サマーソニックと響き合う新たな文化拠点
主催者は「MUSIC LOVES ARTはサマーソニックと連携し、都市空間をアートの場に変えることで未来を創造する文化拠点をめざす」と強調。防災や都市再生などの社会課題を考える契機ともなり、アートと音楽が共鳴する新しい形を提示している。
「転調」のテーマのもと、大阪と幕張を舞台に展開される本プロジェクトは、来場者に日常の風景を新たな視点で見直す機会を与え、国内外の観客を巻き込みながら未来への共創を促している。
編集:梅木奈実 (関連記事: AIロボがカレーをおすすめ エキュート秋葉原「カレーフェス」に異国情緒あふれる演出 | 関連記事をもっと読む )
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