自由民主党の河野太郎衆院議員(神奈川15区)は9日、東京・有楽町の日本外国特派員協会(FCCJ)で講演し、参院選で自民党が参議院の過半数を失った要因について「有権者に明確なメッセージを届けられなかった」と厳しく総括した。選挙対策副本部長を務めた河野氏は「もっとできたし、やるべきだったのにできなかった」と述べ、選挙翌日に辞任した経緯を説明した上で、現執行部の責任を明確にし「党の信頼を回復するには刷新が必要だ」と強調した。
河野氏は、昨年の衆院選でも有権者に争点を提示できなかったと回顧。今回の参院選でも全国の候補者や地方組織と面談したが、「自民党は国民のために何をするのかを早く発信すべき」という声が一致していたと述べた。にもかかわらず、党内で提案しても実現せず、「有効なメッセージを出せた政党は得票を伸ばし、できなかった政党は敗れた」と分析。「自民党は国民に対して語りかける力を失っている」と警鐘を鳴らした。
さらに、物価高騰が与党にとって逆風となった点を認め、「インフレ局面で消費税を減税すればむしろ物価上昇を加速させる。政府は歳出削減で財政均衡を図り、日銀は金利を引き上げるべきだった」と主張した。
温暖化対策についても「ガソリン税減税や電気代補助は本来の方向と逆行だ。補助金はEV、断熱化、再エネ導入に使うべき」と述べ、即効性よりも長期的な構造改革を重視すべきだと訴えた。
外国人労働者政策については「経済には外国人労働力が必要。ルールに基づいて受け入れ、違反には厳格に対処すべき」と主張。その一方で「現行制度の不備が『日本第一』を掲げる極端な勢力の支持拡大を招いた」と分析した。極右政党との連携には否定的で「経済が悪化すると極端な声が力を増す。だからこそルールに沿った受け入れと運用の厳格化が重要だ」と強調した。
年金制度については「『100年安心』という看板は虚構だ。正直にデータを示し、必要なら制度改革を説明すべき」と言及。政治的リスクを恐れず、国民に真実を伝えた上で議論する必要性を訴えた。
外交については日米同盟を「東アジアの平和と安定の礎」と評価する一方、「現状には満足していない」と明言。米国の通商政策を批判し、NATOの太平洋進出やCPTPP拡大による新たな経済秩序の構築を提案した。米国との関税交渉についても「米国は国際ルールを公然と破っている。日本は国際的な枠組みを作り、価格転嫁を通じて関税負担を可視化すべきだ」と訴えた。
安倍政権の「アベノミクス」については「デフレ脱却後も続けたのは誤りだ。成長戦略という名の幻想ではなく、本物の構造改革が必要だった」と断じた。
また、新型コロナ対応を振り返り、国産ワクチン開発の遅れや薬剤供給不足を問題視。「次の危機に備えて、医師に対する動員権限の付与、中央と地方の役割分担の明確化、デジタルを活用した迅速な給付実施が必要だ」と述べた。
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