『エコノミスト』による「米中AI戦争」の分析:AI分野で後れを取る米国 ペンタゴン巨額投資で巻き返しなるか

2025-08-09 10:55
アメリカと中国がAIの情報システムへの応用を加速している。(イラスト/ChatGPT作成)
アメリカと中国がAIの情報システムへの応用を加速している。(イラスト/ChatGPT作成)
目次

投資家の熱い関心を集め、テクノロジー大手が総力を挙げて開発を進めるAIは、今や単なるチャットボットにとどまらず、情報戦の新たな切り札となっている。『エコノミスト』は29日、中国のスパイや軍がAI応用で主導権を握るのを防ぐため、米国が緊急的に国防総省と情報機関を動員し、OpenAIやAnthropicといった最先端技術を統合して追撃を図っていると指摘した。しかし、米国の情報システムは硬直的で動きが遅く、最強のモデルであっても実運用に移すことが難しい状況にある。一方、中国は迅速な展開と制限の少なさを武器に、AIの情報利用で大きく先行している。専門家は、米国はこの情報AI戦争で「研究開発では勝っても、実戦では敗れる」恐れがあると警告している。

AI、世界の情報機関に進出

今年1月、トランプ氏が就任宣誓を行った同じ日に、中国のAI企業DeepSeekが世界水準の大規模言語モデル(LLM)を発表し、米国の情報機関関係者を驚愕させた。トランプ氏は、これは米国にとっての警鐘だと述べ、上院情報委員会副委員長のマーク・ワーナー氏も、この奇襲が全米18の情報機関を「不意打ちにした」と率直に認めた。

『エコノミスト』によれば、実際には昨年の時点で、バイデン政権は中国のスパイや軍がAIを先行配備することを懸念し、直ちに国防総省、情報機関、エネルギー省に全面動員を命じた。OpenAI、Anthropic、Google DeepMindなど業界大手と連携し、最先端モデルの試験を加速させたのである。

今年7月、米国防総省はさらに巨額を投じ、OpenAI、Anthropic、Google、そしてイーロン・マスク氏率いるxAIと、それぞれ最大2億ドル(約320億円)の契約を締結。次世代「AIエージェント」モデル(agentic models)の試験を委託した。このAIは単なる対話にとどまらず、指示の発出、任務遂行、コンピューターや車両の操作まで行える。

軍が先行配備を進める中、諜報機関も負けじと追随した。マイクロソフトは26種類のクラウドツールを機密情報機関向けに提供予定であり、Anthropicも政府専用に設計したClaude Govモデルを投入、既に「米国の国家安全保障の最高レベル機関」に配備したと主張している。現在、米国の情報機関はほぼ全員がAIを手にしている状況である。

AI新創公司Anthropic日前公布最新報告指出,旗下最新模型Claude Opus 4在壓力測試中,竟反過來威脅使用者,意圖阻止被關閉的命令。(示意圖/取自PhotoAC)
Anthropicは政府向けに設計されたClaude Govモデルを発表した。(イメージ図/PhotoACより)

欧州も動きを強めている。英国の情報機関は、常に「最前線を追い続けている」と強調し、すでに全ての情報員が機密レベルの言語モデルを使用していると明らかにした。フランスのAI企業Mistralは軍と協力し、アラビア語や南アジア諸語に特化したSabaモデルを開発。イスラエル軍はガザ戦争の勃発後、GPT-4の利用頻度を大幅に引き上げ、一気に20倍へと急増させた。

こうしてAIは世界の情報機関で急速に広がりを見せているが、『エコノミスト』は米国の本当の問題はこれからだと指摘する。技術は整いつつあるが、真に課題を抱えているのは情報機関そのものである。

最新ニュース
眠れる断層が強震周期に接近 専門家が台湾の2.4倍規模巨大津波の危険性を警告
大阪・関西万博で「こども食堂」国際フォーラム むすびえ、韓国実践者らと社会の未来を議論
ラムセス大王展、来場者15万人突破 アン ミカさん登壇の記念トークイベント開催
「コメ離れ」進む中で価格は急騰 米店経営者らが警鐘――「『コメ』はいつまで主食か」
飛行機だけでなく!モバイルバッテリーの台湾鉄道・高速鉄道における新規定、誤った扱いで罰金の恐れ
トランプ関税がインドの「親ロ」を追撃、世界の石油価格高騰の恐れ! 『エコノミスト』警告:中国が漁夫の利を得る
中国が激しく反発!ジョンソン氏「台湾は国家と認識される資格がある」と発言 訪台の裏で動いたこの人物
英最新鋭空母「プリンス・オブ・ウェールズ」、8月下旬に東京寄港へ 日英防衛連携の象徴に
TAKANAWA GATEWAY CITYで1週間限定「ナイトサファリ」開催 XR×自動運転の近未来体験
世界陸上に合わせた文化イベント「TOKYOわっしょい」9月に東京・行幸通りで3日間開催
エキュート上野で「サマークリスマス」初開催!南国風ツリー&オーナメント作り体験も
日本初「ハリー・ポッター ショップ」旗艦店が原宿に誕生 「禁じられた森」再現&限定グッズも!
紙1枚でアニメ名シーンを再現 渋谷で人気の立体アート「ペーパーシアター」海外観光客が感動
OpenAIが「GPT-5」発表 博士級AIが無料で体験可能、推論力・正確性も大幅向上
独占》中ロが台湾侵攻を想定した軍事協定か 極秘文書が流出、演習で現地試験も
国立新美×M+が初タッグ、会田誠・奈良美智・村上隆ら集結 アジア現代美術の交差点をたどる大型展が9月開幕
風傳媒取材》横須賀に米空母と潜水艦集結 台湾有事で注目の「謎の島」も現地ルポ
風傳媒取材》横須賀に米最新鋭駆逐艦が到着 台湾有事をにらみ最強戦力が集結
話題のPFF審査員特別賞受賞作『これらが全てFantasyだったあの頃。』、9月劇場公開決定!
トランプ氏、インテルCEOに辞任要求!中国企業との「親密な関係」が問題に
イチロー氏の殿堂入り記念グッズが再登場 直筆サイン入り限定品も!
イチロー氏、アジア人初の米野球殿堂入り 「再びルーキーになった気分」笑顔のスピーチに拍手喝采
夏珍コラム:柯文哲氏が法廷で怒号 賴清德氏へ告発と宣戦布告
風傳媒世論調査》台湾で脱原発に逆風?「核三」再稼働に58.7%が賛成 住民投票の行方は
天気予報》台風11号(ポードル)発生 13日・14日に台湾接近の恐れ、週末の天気に影響も
台北前市長柯文哲氏が法廷で激怒「12カ月も拘束された、限界だ」 検察を痛烈批判
スターバックス、中国事業の70%株式売却を検討 京東やテンセントが出資候補に浮上
【武道光影】将軍の剣―― 柳生新陰流と徳川幕府による平和構築
「日本のスパイがTSMC内部に?」元議員が爆弾発言 日系企業関与の漏洩事件で波紋
半導体に100%関税の衝撃、TSMCとアップルが恐れない理由とは? 陸行之が「5企業」を優先的免除と指摘
半導体100%関税:TSMCに追い風となる理由と、消費者負担時代の到来
日本産牛肉に41%の関税 米「+15%加算」に日本政府が猛抗議
中国のステルス戦闘機J-20が対馬海峡を通過?米日韓レーダーをすり抜けた可能性浮上 専門家が示す3つのシナリオ
三重・多気町「VISON」が進化 食×文化×自然が出会う体験型観光拠点へ
『ニューヨーク・タイムズ』がエプスタイン邸を直撃:裸婦画や『ロリータ』初版、鎖ボール…「淫魔の巣」との衝撃内容公開
大阪アジアン映画祭クロージング作品にシンガポール映画『好い子』 ドラァグクイーンと母の絆描く感動作が世界初上映へ
Apple、米国製造支援に1000億ドル追加投資!台湾企業に訪れるチャンスとは?
メイデイ阿信が製作 台湾映画『私たちの思いがけない勇気』が大阪アジアン映画祭にノミネート
トランプ氏、関税引き上げで注目!還付金配布検討—米国政府の収入は大幅増加?
第21回大阪アジアン映画祭、全66作品が決定 台湾・香港・韓国の注目作が集結へ
全面占領か政治的敗北か?イスラエル首相ネタニヤフ氏の決断の行方
【速報】台湾東部沖でM6.2の地震 台北・高雄でも揺れ観測 今後の余震に警戒
花火×音楽×ディズニー!台湾最大級の夏祭り「大稻埕サマーフェス」が楽しすぎる
TSMCの2ナノ機密流出危機 国家技術を守る女性検察官がスパイ摘発へ
台湾は「交渉失敗国」?トランプ政権の新関税で20%課税、日本・韓国より高税率に