台湾は「交渉失敗国」?トランプ政権の新関税で20%課税、日本・韓国より高税率に

2025-08-07 11:40
2025年8月6日、米国のトランプ大統領とアップルCEOのクック氏がホワイトハウスでアップルの投資と米国の半導体関税決定を発表した。(写真/AP通信提供)
2025年8月6日、米国のトランプ大統領とアップルCEOのクック氏がホワイトハウスでアップルの投資と米国の半導体関税決定を発表した。(写真/AP通信提供)
目次

日本時間8月7日午後1時1分、トランプ米大統領が主導する「相互関税」が正式に施行され、世界の貿易は対立の時代に突入した。新たな関税制度は事実上ほぼすべての国を対象としており、米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる欧州連合(EU)や日本も例外ではなかった。

台湾から米国への輸出品には20%の関税が課され、韓国や日本の15%よりも高い水準となった。低い税率の獲得に至らなかったことは、海外メディアや専門家の間で批判を招いており、台湾は「交渉失敗国」との烙印を押されるに至っている。

米ピーターソン国際経済研究所の上級研究員チャド・バウン氏は、「我々は新たな世界に突入した。貿易の専門家でさえ、この複雑さには頭を抱えている」と指摘している。

台湾はなぜ関税交渉の「最も失敗した」国の一つと指摘されたのか?

海外メディアによれば、台湾はスイス、カナダ、インドと並び、今回のトランプ政権による関税交渉で「最も失敗した国」の一つと位置づけられている。とりわけ、世界有数の半導体輸出国である台湾が、今回の交渉でより低い関税率を勝ち取れなかったことに対しては、多くの疑問が投げかけられている。

元中広(中国広播公司)董事長の趙少康氏は、「民進党はよく『台米関係は史上最良だ』と言うが、実際には民主党としか関係を築いておらず、共和党を敵に回した。その一連の誤りが今回の結果を招いた」と厳しく批判した。

世界関税戦争の正式開始、誰が免除を受け、誰が懲罰を受けるのか?

最新のデータによると、各国はトランプ関税構造の下で以下のように扱われている。

国/地域​対米輸出関税率
免除条件の有無備考
台湾20%4度の協議を経ても日本・韓国より高水準
日本/韓国15%台湾よりも低い水準を確保
スイス39%大統領が訪米するも効果なし
カナダ高関税オタワ政府が強く抗議
メキシコ90日間の猶予措置
一時的な緩和期間を獲得
インド50%ロシア産原油の輸入により制裁対象に

なぜトランプ税率は地政学的な道具として操作できるのか?

今回の「対等関税」の大規模な導入は、米国の《通商拡大法》第232条に基づくものであり、同条項は大統領に対し「国家安全保障上の理由」により外国製品に高関税を課す権限を与えている。トランプ大統領はこれを根拠に、過去には鉄鋼やアルミニウム、自動車に対して25~50%の関税を課しており、今回は半導体や医薬品も新たに「国家安保上の重要品目」として指定された。

トランプ氏は最近、輸入半導体に対し100%の関税を課す方針を発表したが、企業が「米国内での生産を約束する」場合には免除の可能性があると述べた。同氏は「関税によって米国に数兆ドルの収入がもたらされる。私の貿易政策は米国を再び豊かにする」と主張している。

調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのデータによれば、米国の2025年7月の関税収入は300億ドル(約4兆7,000億円)に達し、前年同月の平均80億ドル(約1兆2,500億円)を大きく上回った。

台湾の交渉はどこで失敗したのか?民進党政府はなぜ指摘されたのか?

趙少康氏は、副総統の蕭美琴氏が駐米代表を務めていた際、「民主党との関係構築に偏っていた」と指摘し、さらにトランプ氏が当選した後も賴清德総統が速やかに祝意を表さなかったことなど、一連の政治的判断ミスが、今回の関税圧力として台湾に跳ね返ってきたと批判した。

また趙氏は、「台湾は何を材料に交渉したのか。本当に何らかの条件を得られたのか。誰が明確に説明できるのか」と疑問を呈したうえで、最終的な対米関税協定は立法院の承認が必要であると強調し、「いずれ真実は明るみに出る」と述べた。

さらに、現在に至るまで交渉内容が公開されていないことについて、「民進党はかつて“密室政治”を最も嫌っていたはずだ。なぜ今になって透明性が失われたのか」と厳しく批判した。

台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp

最新ニュース
花火×音楽×ディズニー!台湾最大級の夏祭り「大稻埕サマーフェス」が楽しすぎる
TSMCの2ナノ機密が漏洩危機 国家の技術守る女性検事がスパイ摘発へ
日本の人口、過去最大の90万人減 出生数は初の70万人割れ、外国人は最多更新
TSMC株、トランプ氏「関税100%」発言で急落も…なぜその後反発?
トランプ氏、半導体に100%関税発表 アップルなど米投資企業は免除に
ガザ人道危機論争:情報戦とデータ争い イスラエル学者オバクが「逆漏斗効果」を警告、支援戦略の重大な誤りを認める
ハマス後のガザを誰が治めるのか?イスラエル歴史学者が国際社会に呼びかけ「教育から憎しみを除け」
国際大疑問:「ディープステート」の正体! サックス:大統領が誰でも同じ、ワシントンを支配する真の権力者とは
台湾グルメ満載の《城隍神降臨》中型ねぶたが青森に登場!来場者の驚きと歓声響く
青い森鉄道、台湾と姉妹提携 観光列車や文化交流イベントを強化
台湾プロ野球・楽天モンキーズの昼食にウジ虫混入 選手「集中できない」深刻な衛生問題再燃
日本の15%関税、「上限保障」適用外の可能性 米国の協定文に不備か、政府が交渉急ぐ
米NASA、2030年までに月面に原子炉を設置へ 中国との宇宙競争で「核」に注目
台湾と米国の関係、頼政府にとっての試練-専門家が指摘する「秘密取引」と台米関係の行方
トランプ氏、TSMCが米国に3000億ドル投資と発言 TSMCが「実際の金額」を即座に公表
トランプ氏と習近平氏の会談準備進む、米中「駆け引きフェーズ」に突入か 台湾が最大の敗者に?
陸文浩の視点:中国共産党軍のキロ級潜水艦、北上して中露合同演習に参加
広島原爆80年 台湾が初参加 駐日代表「戦争に勝者はいない」
評論:台湾の「反共正義」が行き過ぎるとき──ナチスの影と極右の兆候
台湾、トランプ氏との関係悪化の真相とは?元政権高官が明かす民進党政府の誤算
TSMCの2ナノ技術流出疑惑で急浮上 Rapidusとは何者か──日本半導体産業の逆襲
タイタン号の深海悲劇、創設者のコスト優先と船体欠陥無視が招いた内破事故の真実
核兵器が再び矛先に?ロシア、INF条約の一方的遵守を停止
TSMCの2ナノ技術が日本企業に流出か 元社員3人を国家安全法違反で拘束
三菱重工が2兆円護衛艦を受注、日本の軍事輸出で過去最大規模
トランプ政権の39%高関税でスイス経済に打撃 発端はたった一本の電話?
舞台裏》アメリカが「地獄絵図」を作り、中国を抑止 台湾のドローン問題が沈殿する恐れ
台湾の人気キャラ「a-We」大阪初上陸 ぬいぐるみ即完売、文化イベントに長蛇の列!
リコール全敗の台湾で何が?「中国寄り」批判が招く「魔女狩り」と民主主義の危機
第6回「渋谷盆踊り」今年も盛況、過去最高の約6万2,000人が来場 外国人比率は3割
評論:数字が物語る 米国の台湾への要求の苛烈さ
グーグルもマイクロソフトも台湾に進出 有事の際は支援するのか、それとも沈黙か
台湾のリコール運動に中国が注目 「中国台湾省」構想が再浮上の兆しも?
夏一新の視点:台湾若者の市民運動が過激化 街頭の極化で民主広場は闘争の場に
TSMC日本工場が高収益!熊本市、税収大幅増で日本政府からの補助金が不支給に
舞台裏》頼清徳氏、罷免再戦に強い執念 「8・23罷免」へ民進党が標的を絞り攻勢継続
秋のおやつに迷ったらコレ!東ハトの安納芋&和栗フレーバーが期間限定で登場
台湾カルチャー満載の「We TAIWAN」が大阪・中之島で開催中 38組129プログラムを展開、圧巻の五感体験も話題に
台湾文化「We TAIWAN」、大阪で話題沸騰 2日で1.6万人、メディア各社も報道
南台湾でアスベスト被害拡大 台風・豪雨で「静かな健康災害」発生
台湾TSMCに高関税の可能性 トランプ関税が「中国+1」戦略を直撃、アジア経済を揺さぶり
台湾、関税15%のために4千億ドル投資?経済部長の発言が波紋呼ぶ 「TSMC頼み」交渉に批判噴出
関税最大の敗者は誰か?「中国55%」以外にこの国も…台湾は依然と勝者の位置を争う
アフリカが中国の影響下に... 台湾の「2つの断交国」が関税で打撃、大規模な失業危機へ
台湾、関税20%からさらなる引き下げは可能か 行政院副院長・鄭麗君氏が帰国し見解
大規模リコール後も台湾は民主の模範か?学者が警告 分極化こそ最大の安全保障リスク
舞台裏》台湾・大規模リコールで見えた新勢力台頭 次期トップ候補は意外な人物に