日本の15%関税、「上限保障」適用外の可能性 米国の協定文に不備か、政府が交渉急ぐ

2025-08-06 17:30
米国のトランプ大統領が日本とEU製品に15%の関税を課すと発表したことを受け、日本が重要な「相互関税の上限条項」から除外されている可能性があると日本メディアが報じた。(AP通信)
米国のトランプ大統領が日本とEU製品に15%の関税を課すと発表したことを受け、日本が重要な「相互関税の上限条項」から除外されている可能性があると日本メディアが報じた。(AP通信)
目次

米国のトランプ大統領が日本と欧州連合(EU)からの輸入品に対し15%の関税を課すと発表したことを受け、日本政府内に懸念が広がっている。米国政府が発表した関税措置に関する文書には、「相互関税の上限条項」がEUにのみ適用される形となっており、日本はこの重要な条項から除外されている可能性があるという。これに対し、日本政府は直ちに交渉代表団をワシントンに派遣した。

EUのみに「相互関税上限条項」明記 日本は対象外?

経済専門メディア『日経アジア』が6日に報じたところによると、米国政府は7月31日に署名された大統領令を8月5日付の『連邦公報』に掲載し、6日から正式に施行した。しかし、公開された付属文書には、EUのみが「関税上限条項(Cap on Reciprocal Tariffs)」の対象として明記されており、日本には言及がなかった。

同条項では、対象国からの輸入品に対し、既存の関税率が15%未満の場合、新たに課される関税率は最大でも15%に抑えられる。また、すでに15%を超える商品については、それ以上の加算は行われないとされている。

しかし、日本がこの条項の適用対象外である場合、現行の関税率が低い製品に対しても15%がそのまま上乗せされる可能性がある。たとえば、現行税率が4%の衣料品に対しては、15%が加算されて最終的に19%となる計算だ。

赤澤経済再生相が訪米 「EUと同様の扱い」確約を強調

こうした懸念を受け、赤澤亮正・経済再生担当大臣は8月5日に米国に向けて出発。8日までの滞在を予定し、米政府との協議に臨んでいる。赤澤氏は同日、参議院予算委員会で「米国側に確認し、我が国がEUと同様の扱いを受けることについて確約を得ている。過度な懸念は不要だ」と述べ、交渉に自信を示した。

日本政府は今後も、米国との交渉を通じて文書の修正および関税上限の適用を確実にする方針だ。

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp

最新ニュース
米NASA、2030年までに月面に原子炉を設置へ 中国との宇宙競争で「核」に注目
台湾と米国の関係、頼政府にとっての試練-専門家が指摘する「秘密取引」と台米関係の行方
トランプ氏、TSMCが米国に3000億ドル投資と発言 TSMCが「実際の金額」を即座に公表
トランプ氏と習近平氏の会談準備進む、米中「駆け引きフェーズ」に突入か 台湾が最大の敗者に?
陸文浩の視点:中国共産党軍のキロ級潜水艦、北上して中露合同演習に参加
広島原爆80年 台湾が初参加 駐日代表「戦争に勝者はいない」
評論:台湾の「反共正義」が行き過ぎるとき──ナチスの影と極右の兆候
台湾、トランプ氏との関係悪化の真相とは?元政権高官が明かす民進党政府の誤算
TSMCの2ナノ技術流出疑惑で急浮上 Rapidusとは何者か──日本半導体産業の逆襲
タイタン号の深海悲劇、創設者のコスト優先と船体欠陥無視が招いた内破事故の真実
核兵器が再び矛先に?ロシア、INF条約の一方的遵守を停止
TSMCの2ナノ技術が日本企業に流出か 元社員3人を国家安全法違反で拘束
三菱重工が2兆円護衛艦を受注、日本の軍事輸出で過去最大規模
トランプ政権の39%高関税でスイス経済に打撃 発端はたった一本の電話?
舞台裏》アメリカが「地獄絵図」を作り、中国を抑止 台湾のドローン問題が沈殿する恐れ
台湾の人気キャラ「a-We」大阪初上陸 ぬいぐるみ即完売、文化イベントに長蛇の列!
リコール全敗の台湾で何が?「中国寄り」批判が招く「魔女狩り」と民主主義の危機
第6回「渋谷盆踊り」今年も盛況、過去最高の約6万2,000人が来場 外国人比率は3割
評論:数字が物語る 米国の台湾への要求の苛烈さ
グーグルもマイクロソフトも台湾に進出 有事の際は支援するのか、それとも沈黙か
台湾のリコール運動に中国が注目 「中国台湾省」構想が再浮上の兆しも?
夏一新の視点:台湾若者の市民運動が過激化 街頭の極化で民主広場は闘争の場に
TSMC日本工場が高収益!熊本市、税収大幅増で日本政府からの補助金が不支給に
舞台裏》頼清徳氏、罷免再戦に強い執念 「8・23罷免」へ民進党が標的を絞り攻勢継続
秋のおやつに迷ったらコレ!東ハトの安納芋&和栗フレーバーが期間限定で登場
台湾カルチャー満載の「We TAIWAN」が大阪・中之島で開催中 38組129プログラムを展開、圧巻の五感体験も話題に
台湾文化「We TAIWAN」、大阪で話題沸騰 2日で1.6万人、メディア各社も報道
南台湾でアスベスト被害拡大 台風・豪雨で「静かな健康災害」発生
台湾TSMCに高関税の可能性 トランプ関税が「中国+1」戦略を直撃、アジア経済を揺さぶり
台湾、関税15%のために4千億ドル投資?経済部長の発言が波紋呼ぶ 「TSMC頼み」交渉に批判噴出
関税最大の敗者は誰か?「中国55%」以外にこの国も…台湾は依然と勝者の位置を争う
アフリカが中国の影響下に... 台湾の「2つの断交国」が関税で打撃、大規模な失業危機へ
台湾、関税20%からさらなる引き下げは可能か 行政院副院長・鄭麗君氏が帰国し見解
大規模リコール後も台湾は民主の模範か?学者が警告 分極化こそ最大の安全保障リスク
舞台裏》台湾・大規模リコールで見えた新勢力台頭 次期トップ候補は意外な人物に
イギリスがパレスチナ国家承認をめぐり疑問の声 『テレグラフ』:実在する国「台湾」をなぜ承認しないのか?
特集》首相を見守った台日友情 安倍派の知られざる支え手
分析》大規模罷免後の米中台情勢 焦点はトランプの台湾対応
台湾の20%関税政策3》日本の輸出競争力に暗雲 五大産業直撃
台湾の20%関税政策2》半導体調査結果迫る 企業に232条項・関税・チップ税の三重圧
台湾の20%関税政策1》米国が鉄鋼や自動車部品に最大50%関税、一部業界は予想外の恩恵
土壇場で台湾20%重税を突如発表 英紙報道が示すその背景と理由
トランプの「兄弟外交」が崩壊:プーチンとネタニヤフが応じず、終わらない戦争が平和賞の夢を打ち砕く恐れ
国家主導のイノベーションはなぜ加速したのか――中国の「市場と統制」の両立を読み解く
第二次世界大戦をめぐる「記憶の闘い」 FCCJで国際研究者3名が語る現代の論点