米国のトランプ大統領が日本と欧州連合(EU)からの輸入品に対し15%の関税を課すと発表したことを受け、日本政府内に懸念が広がっている。米国政府が発表した関税措置に関する文書には、「相互関税の上限条項」がEUにのみ適用される形となっており、日本はこの重要な条項から除外されている可能性があるという。これに対し、日本政府は直ちに交渉代表団をワシントンに派遣した。
EUのみに「相互関税上限条項」明記 日本は対象外?
経済専門メディア『日経アジア』が6日に報じたところによると、米国政府は7月31日に署名された大統領令を8月5日付の『連邦公報』に掲載し、6日から正式に施行した。しかし、公開された付属文書には、EUのみが「関税上限条項(Cap on Reciprocal Tariffs)」の対象として明記されており、日本には言及がなかった。
同条項では、対象国からの輸入品に対し、既存の関税率が15%未満の場合、新たに課される関税率は最大でも15%に抑えられる。また、すでに15%を超える商品については、それ以上の加算は行われないとされている。
しかし、日本がこの条項の適用対象外である場合、現行の関税率が低い製品に対しても15%がそのまま上乗せされる可能性がある。たとえば、現行税率が4%の衣料品に対しては、15%が加算されて最終的に19%となる計算だ。
赤澤経済再生相が訪米 「EUと同様の扱い」確約を強調
こうした懸念を受け、赤澤亮正・経済再生担当大臣は8月5日に米国に向けて出発。8日までの滞在を予定し、米政府との協議に臨んでいる。赤澤氏は同日、参議院予算委員会で「米国側に確認し、我が国がEUと同様の扱いを受けることについて確約を得ている。過度な懸念は不要だ」と述べ、交渉に自信を示した。
日本政府は今後も、米国との交渉を通じて文書の修正および関税上限の適用を確実にする方針だ。
編集:梅木奈実 (関連記事: TSMCの2ナノ技術流出疑惑で急浮上 Rapidusとは何者か──日本半導体産業の逆襲 | 関連記事をもっと読む )
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