台湾プロ野球・楽天モンキーズの選手向けの食事に、再び深刻な衛生問題が発覚した。8月2日に提供された昼食「スズキ豆腐」に、死んだハエと生きたウジ虫が混入していたと、複数の選手の証言をもとに台湾メディア「週刊王(CTWANT)」が報じた。
報道によれば、ある匿名選手は「ハエならまだしも、豆腐の上でウジ虫がうごめいていた。さすがに無理だと思った」と証言。魚の匂いもひどく、「腐っているのではないかと疑った」とも語ったという。
食事の質に「崖のような落差」 4月にも問題化
楽天モンキーズでは今年4月、専属シェフを解雇し、地元の中華料理店や弁当業者に食事提供を外注化したことで、選手から「食事の質が崖のように下がった」との不満が噴出。当時、球団は「選手の要望を受けて改善に努める」と表明していたが、選手らは「改善されたのは最初の1、2週間だけで、すぐ元に戻った」と口を揃える。
球団の古久保健二監督も4月の報道後、「選手が食事で悩むことのないよう球団に対応をお願いしている」とコメントしていたが、今回の事態に選手たちは「監督の言葉はどこへ行ったのか」と落胆を隠さない。
栄養士の提案も予算不足で実現できず
球団は栄養士を雇用しているものの、1食あたりの予算が100〜150台湾元(約470〜700円)と限られており、提案が実行に移せない状況が続いている。業者側も「この価格ではどうしようもない」と対応の限界を示唆している。
実際に選手に提供されている食事は、香腸(台湾式ソーセージ)やイカ団子、油っこい卵焼きなどの加工食品が中心で、「これではプロアスリートに必要な栄養が取れない」との指摘も多い。
現在、モンキーズの選手食は桃園市内の安価な海鮮料理店が提供しており、弁当1食あたりのコストは約80台湾元(約370円)と、台湾プロ野球球団の中でも最低水準とされる。
球団は再発防止を約束
今回の異物混入報道を受け、楽天モンキーズ球団は「現場でもすぐに異物を確認し、業者には衛生管理の徹底を厳重に求めました。今後は定期的なチェックを行い、選手に安全かつ栄養価の高い食事を提供できるよう努めます」と「週刊王」にコメントを寄せた。
選手のパフォーマンスを支えるはずの食事が、かえって彼らの不安材料となっている現状。球団の対応が問われている。
編集:梅木奈実 (関連記事: TSMCの2ナノ技術流出疑惑で急浮上 Rapidusとは何者か──日本半導体産業の逆襲 | 関連記事をもっと読む )
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