トランプの「兄弟外交」が崩壊:プーチンとネタニヤフが応じず、終わらない戦争が平和賞の夢を打ち砕く恐れ

2025-08-03 19:56
プーチン、トランプ、ネタニヤフ。(AP通信).jpg
プーチン、トランプ、ネタニヤフ。(AP通信).jpg
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一度は電話一本で戦争を解決できると豪語していたトランプ氏だが、今や旧友のプーチン氏とネタニヤフ氏を前にして苦境に立たされている。「CNN」7月31日報道によれば、ロシア・ウクライナおよびガザの戦火が止まらず、トランプ氏が両指導者に電話した後、「非常に失望した」と大声で訴えた。プーチン氏を「言行不一致」と批判し、ガザの飢饉のためにネタニヤフ氏に圧力をかけた。感情に訴える発言や最後通告をしても休戦は遠く、トランプ氏の「個人的な関係」を重んじた外交方針は失敗に終わった。

トランプ「個人外交」が壁に当たる

トランプ氏は長らく、各国指導者との「個人的な関係」が外交の鍵だと信じていた。彼はかつて、電話一本でロシア・ウクライナ戦争やガザ紛争を解決できると自信を持って発言し、ノーベル平和賞を望んでいた。しかし、その考えは現実の前に打ち砕かれた。

「CNN」によると、トランプ氏は最近、プーチン氏やネタニヤフ氏とそれぞれ通話を行ったが、「非常に失望した」と吐露。両国の戦争がエスカレートし、休戦は夢のまた夢となったことで、彼の自信を喪失させたという。外交での自分の手腕が、言うほどバイデン氏よりも優れていないのではないかとさえ思うようになった。

実際、トランプ氏は過去に各国指導者と密接に交流してきた。インドのモディ首相の大規模集会に招かれ、モディ氏が2019年に彼の選挙を公然と支援したこともある。北朝鮮の金正恩氏とも頻繁に書簡を交換し、「ペンパル」とまで称される仲だった。しかし今やモディ氏は貿易交渉で譲らず、25%の関税を課す事態になり、金正恩氏は無視する形で「関係は悪くない」と口調を緩め、核武装を放棄しない旨を強調している。

トランプ(左)と金正恩が38度線で対面。(AP)
トランプ(左)と金正恩が38度線で対面。(AP)

トランプ氏は外交システムを迂回し、外国指導者に直接携帯番号を教え「用があれば電話やメッセージしてほしい」と促し、迅速な信頼関係を築こうとした。この手法は時には効果を発揮し、複数のNATO加盟国に国防予算の増額を促すことに成功したが、「CNN」もこの友情に基づく外交は限界があると指摘している。

「約束の平和」はどこへ?プーチン氏の裏切り

トランプ氏が最も自信を持っていた外交関係は、プーチン氏との「苦楽を共にした」兄弟的な友情だったが、今やトランプ氏だけがその関係を信じているようだ。

「CNN」によると、トランプ氏はホワイトハウスでの電話会談後に「和やかだった」と妻メラニア氏に報告したが、彼女はその幻想をすぐに打ち砕いた。「本当に?ニュースではまた都市が爆撃されたって言ってるわ。」

プーチン氏は最近ウクライナに対し一連のミサイルと無人機攻撃を行い、トランプ氏は彼を「狂っている」と非難した。電話では和を装うが、実際の行動は正反対だと指摘し、平和への誠意がないことを嘆いた。 (関連記事: 外国メディアが分析 トランプ氏の台湾冷遇で浮き彫りになる頼清徳政権の苦境 関連記事をもっと読む

2019年6月28日、大阪でのG20サミットで握手するトランプ(右)とプーチン(左)。
2019年6月28日、大阪でのG20サミットで握手するトランプ(右)とプーチン(左)。

トランプ氏はもともと「50日での停戦合意」を最後通告としていたが、ついに期限を前倒しする決断をした。彼は7月29日に突然、プーチン氏に対して「10日」の猶予しかないことを宣言。制裁を準備するよう指示した。

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