台湾発TeamT5、サイバー脅威の最新動向と防御戦略を解説

2025-08-03 11:07
台湾発のサイバーセキュリティ企業TeamT5は、「迫るサイバー攻撃、対応の遅れが命取りに?~脅威インテリジェンスで後手から先手の守りへ~」と題したWEBセミナーを開催。(写真 TeamT5)
台湾発のサイバーセキュリティ企業TeamT5は、「迫るサイバー攻撃、対応の遅れが命取りに?~脅威インテリジェンスで後手から先手の守りへ~」と題したWEBセミナーを開催。(写真 TeamT5)
目次

2025年7月24日、台湾発のサイバーセキュリティ企業TeamT5は、「迫るサイバー攻撃、対応の遅れが命取りに?~脅威インテリジェンスで後手から先手の守りへ~」と題したWEBセミナーを開催。本セミナーでは、国家支援型APT(高度持続的脅威)の増加や、高度化する攻撃手法への対応策として、TeamT5が提供する脅威インテリジェンスプラットフォーム「ThreaVision」の活用法や実践事例が詳しく紹介された。

「国家による攻撃が常態化、守りには“敵を知る”インテリジェンスが不可欠」

冒頭で登壇したTeamT5株式会社の横田氏は、JAXAやDMMビットコインを標的としたサイバー攻撃、北朝鮮のキムスキーによる日本へのフィッシング攻撃、さらには台湾に対する1日240万件に上る攻撃件数などを挙げ、「国家によるサイバー攻撃は今や戦略的な軍事・情報手段であり、現実に社会インフラや通信、製造、金融機関が恒常的に狙われている」と述べた。

さらに、Windowsの監視機能を回避する手法やポートノッキング技術を用いた検知困難なバックドアの出現など、攻撃がますます巧妙化している現状を指摘。「攻撃の全体像や手法、痕跡が見えないことが守りの遅れにつながっており、何より“知らない”ことが最大のリスクだ」と語り、その打破には脅威インテリジェンスの活用が鍵になると強調した。

TeamT5の脅威インテリジェンスは、攻撃基盤(IOC)、攻撃手法(TTP)、意図や支援国家、情報漏洩の状況といった情報を多面的に整理・分析するもので、経営層・管理者・実務者の役割ごとに「戦略的」「運用的」「戦術的」の3分類で提供される。これにより、組織は「何を」「どこを」「いつ」守るべきかの優先順位を明確化できるという。

同社が開発したインテリジェンスプラットフォーム「ThreaVision」は、APAC(アジア太平洋)地域に特化し、中国語圏グループの分析にも強みを持つ。APT攻撃の追跡、マルウェアギャラリー、MITRE ATT&CKとのマッピング機能、現場で活用できるIoC・ハンティングルール(YARA、Sigma、Pythonなど)などを網羅し、技術者から経営層まで多層的なサポートを提供している。

実際の活用事例としては、台湾の医療機関・上場企業が被害を受けた「クレイジーハンター」ランサムウェア事件において、TeamT5が初動段階からキャンペーンをトラッキングし、封じ込めに成功した事例を紹介。さらに、日本においても中国系APT「スライム68」がVPN製品の脆弱性を悪用し、大規模な攻撃を仕掛けた際、スレッドビジョンのスキャナーと脅威レポートを活用して迅速な侵害検知と封じ込めが行われたことが報告された。

質疑応答では、「経営層の意思決定への活用事例」「APAC地域の特徴」「なぜ特定業種が狙われるのか」「AIによる自動レポート化の可否」など多岐にわたる質問が寄せられた。横田氏は、「現在は自動生成機能はないが、タグやフィルターを活用し、自組織と関連のある情報を可視化できる」と説明。また、APT攻撃に関する調査は「実際のインシデントレスポンスやダークウェブ情報を元に、リサーチャーが日々分析している」とし、インテリジェンスの質を重視している姿勢を示した。

最後に横田氏は「全ての脅威に対処するのは不可能だが、今狙われている対象を正確に把握し、優先順位を定めることで、より現実的かつ効果的な防御体制が構築できる」と語り、「ThreaVisionを通じて“先手の守り”を実現してほしい」と締めくくった。

TeamT5では、今後もAPAC地域を中心としたサイバー脅威の可視化、分析レポートの提供、セキュリティ戦略支援を強化していく方針である。

台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp 

最新ニュース
戦後80年、日本の役割を問う――中西寛教授が国際秩序と外交課題を語る
飛行機で最も汚い場所は枕やカーペットではない? 客室乗務員が明かす「一度も清掃されない1箇所」とは
なぜ台湾だけが「一時的な関税」に区分されるのか? 専門家が語る「頼清徳が触れない事」:トランプの罠に陥る
舞台裏》大規模リコールが崩壊 民進党は無関心を装う 病院のメンタル科に若者が次々と駆け込む
なぜ台湾だけが「暫定関税」に? 専門家が語る「頼清徳が語らなかった事実」:トランプの罠に陥った
2025年新竹駅おすすめグルメ》格安グルメの集まる場所!老舗の美食15選、サクサクのタロイモボールや肉汁たっぷりの城隍包
外国メディアが分析 トランプ氏の台湾冷遇で浮き彫りになる頼清徳政権の苦境
トランプ氏が台湾に冷たい理由 WSJ「習近平氏との大取引を模索」
夏珍コラム:頼清徳は救えるか?
「松本零士展 創作の旅路」開幕 DJ KOOさんと真山りかさんがセレモニーに登場、松本零士の創作人生と“銀河の旅”に祝福
オーバーツーリズムの克服へ 田中俊徳准教授「持続可能な観光立国に必要なのはルールと分配」
「現実に立脚した安保戦略こそが必要」——折木良一元統合幕僚長が語る戦後80年と日本の進路
台湾グルメは鼎泰豊だけじゃない!日本人旅行者が「本当に絶品」と絶賛する隠れた名店とは
松本零士展が夏休み仕様に拡充 新フォトスポットや限定グッズも登場、SNS割引キャンペーンも実施中
アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭
相互関税で台湾に20%か 日韓EUより5%高い
台湾、「関税20%は交渉目標に非ず」頼総統が米と再交渉へ明言
台湾株、トランプ関税で夜間に180ポイント急落 非農業統計控え市場に緊張走る
台湾・台中と兵庫・尼崎が「スマート都市」で意気投合 デジタル×脱炭素で国境越えた交流へ
8月8日は「ポテコなげわの日」!池袋で限定イベント&お菓子プレゼントも
裏金17億円、40年続いた潜水艦修理めぐる不正の実態 防衛省が海自93人を一斉処分
中国軍、忠誠は共産党でなく習近平? 青学大・林教授が指摘する「制度なき統制」の危うさ
専門家が警告:この「5つの情報」をChatGPTに絶対に伝えないで! 一言で財産とキャリアを失う可能性とは
「災害対応にジェンダーの視点が不可欠」 女性自衛官らが語る現場の変化と課題
吳典蓉コラム:「民意」を読み違えた頼清徳総統 大規模リコールで露呈したリーダーの孤立
台湾と中国、異例の非公式交渉 頼政権の「オリーブの枝」を北京が一蹴
親中路線を強めるトランプ氏 頼清徳総統を冷遇か?米中「取引外交」に警鐘
舞台裏》台湾リコールで中国も誤算 最も懸念していた人物とは?
FRB分裂、利下げ巡り異例の反対票 31年ぶりの波乱で市場動揺
台湾関税は20%に決定 なぜ「最良税率」が日韓より高いのか、その背景とは
20%関税で台湾株1.2兆台湾ドル蒸発 国家安定基金が緊急介入
台湾の関税「20%はまだ前菜」──卓栄泰・行政院長、台米協議の焦点は「サプライチェーン協力」と「232条項」
台湾株先物が急落500ポイント超 トランプ20%関税で市場に警戒感
「テクノロジー冷戦」の最前線は東南アジアに 米中のAI覇権争いが地政学リスクを加速
韓国、関税15%で米国と合意 3500億ドル投資と自動車・農産品市場を全面開放でトランプ氏が10ポイント引き下げ発表
世論調査》大規模リコールの「逆風」直撃──頼清徳総統の信頼度、ついに3割台に転落 再選支持は半数以下
外国人との共生社会を目指す、鈴木法相「外国人を人として受け入れる時代へ」──新・育成就労制度の方向性
戦後80年──米軍記録映像が語る知られざる「戦争の実像」 映像解析で次世代へ記憶をつなぐ
堺が見せる日本の底力!大阪万博で職人技と伝統文化を再発見
暑さに負けない!梅・ネギ・XO醤…五味で味わう“夏ごはん” アコメヤのフェアが全国で開催中
暑さにひと息!茅乃舎の「冷たい飲むだし」東京&福岡で無料提供、先着100名限定
「石破首相は辞任すべき」自民党内で退陣論が噴出 ヒゲの隊長も決断迫る
ロシア・カムチャツカM8.8巨大地震が琉球海溝100年周期地震を誘発?専門家「台北は二重共振に警戒」
イチロー、アジア人初の米野球殿堂入り 「3度目の新人」とユーモア溢れるスピーチ
韓国が15%関税優遇と引き換えに差し出したものとは?台湾が驚く「代償の大きさ」