米国のドナルド・トランプ大統領は7月31日、大統領令に署名し、8月1日から各国に対して新たな「相互関税(Reciprocal Tariffs)」を適用すると正式発表した。台湾の関税率は20%に設定され、4月に予告された32%からは引き下げられたものの、日本や韓国が合意した15%を上回り、国内外で注目を集めている。
台湾は外交交渉を選択 副院長が訪米して減税を要請
今年4月、米国政府が突如、台湾産品に32%の高関税(半導体製品は除外)を課す方針を発表すると、台湾の産業界は強く反発した。頼清徳総統は対抗関税を避け、対米投資の拡大や米国製品の調達増を交渉カードとして、外交ルートによる打開を選択。7月下旬には鄭麗君副院長が経済・通商チームを率いて訪米し、第4回の実体協議を行った。
交渉の成果が徐々に表面化 米側も市場開放を評価
ロイター通信は7月30日、協議は1週間以上続いたが、正式な結果は未公表と報道。ただし、関係者4人によると、今回の20%への引き下げは交渉の成果の表れとみられる。米国側は、台湾が約束した対米投資の規模や市場開放の進展を「一定程度評価」しており、今後も一部の敏感産業や重要条項について協議を継続する見通しだ。
トランプ氏は全面関税も示唆 台湾の20%は「中程度」
トランプ氏は8月1日までに主要な相互関税協定を締結すると表明しており、最大で200カ国に通知を送付済み。7月28日に英国首相と会談した際には、米国と未合意の国に対し15~20%の包括的輸入関税(blanket tariffs)を課す可能性を示唆していた。今回の税率設定は、高度な戦略性と圧力を伴うものとみられる。
総統府「20%は暫定税率」 最終合意で更なる引き下げも
総統府は、米国が駐米交渉チームに正式通知した内容として「台湾の関税率20%は暫定措置」と説明。最終協議が未了のため暫定公表となったが、正式合意に至れば更なる引き下げの余地があるという。併せて、サプライチェーン協力や米国貿易拡張法232条関連問題でも協議を続ける方針だ。
頼清徳総統、交渉団に感謝「最後の関門を突破へ」
頼清徳総統はSNSに投稿し、「交渉チームの努力に感謝する。限られた時間で4回の実体協議と複数回のオンライン会議を経て、技術的な協議は完了した。国家利益、産業利益、国民の健康、食料安全を守る使命を果たしつつ、最終合意を目指す」と述べた。
今回の20%は暫定的な措置に過ぎず、台湾は引き続き「合理的な税率」の獲得を目指して交渉を続ける構えだ。 (関連記事: 「関税交渉」期限迫る トランプ政権が台湾に「最良税率」提示か、中国は慎重対応 | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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