台湾人から見たフジロック2025──文化の違いと現場のリアルな魅力

2025-07-29 17:02
「フジロック・フェスティバル2025」最終日となる7月27日、新潟県・苗場スキー場で開催された。(写真/黃信維撮影)
「フジロック・フェスティバル2025」最終日となる7月27日、新潟県・苗場スキー場で開催された。(写真/黃信維撮影)
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日本を代表する野外音楽フェスとして知られる「フジロック・フェスティバル」。その徹底された動線設計、会場レイアウト、自然と共生した環境は、アジア各国のイベント主催者にとってもひとつの模範となっている。

2025年のフジロックにも、初参加者からリピーターまで、多くの台湾人が現地を訪れた。《風傳媒》の取材に応じた参加者たちは、キャンプの過ごし方やステージの演出、出演アーティストのラインナップに加えて、日本と台湾のフェス文化の違いについても語ってくれた。彼らの声からは、なぜこのフェスが毎年苗場へ多くの人々を引き寄せるのか、その理由が浮かび上がる。

台湾のイベント主催者・黄葳さんが感じた「学びの多いフェス」

台湾から初参加した黃葳さん。台湾でイベントブランド「生可戀」を主催し、フェス運営の学びを持ち帰りたいと語る。黃信維
台湾から初参加した黃葳さん。自身が主催するイベントブランド『生可戀』の経験を活かし、フジロックで学んだフェス運営の工夫を台湾に持ち帰りたいと語った。(写真/黃信維撮影)

今回が初めてのフジロック参加となった黄葳(ホワン・ウェイ)さんは、台湾で音楽イベントを企画する立場から、大規模フェスの運営において多くの気づきがあったと語る。中でも印象的だったのは、海外からの来場者に対する言語対応の手厚さだという。

「会場内の案内板や交通情報、チケット交換の手順まで、すべて中国語表記が用意されていて、言葉の壁を感じずに安心して楽しめました。」

台湾から初参加した黃葳さん。台湾でイベントブランド「生可戀」を主催し、フェス運営の学びを持ち帰りたいと語る。黃信維
台湾から初参加した黃葳さん。自身が主催するイベントブランド『生可戀』の経験を活かし、フジロックで学んだフェス運営の工夫を台湾に持ち帰りたいと語った。(写真/黃信維撮影)

また、会場内の動線設計にも感心したと話す。「観たいアーティストが別のステージにいても、移動が非常にスムーズ。距離があっても苦になりません。台湾のフェスだと、音が混ざって干渉してしまうことが多いのですが、ここではその心配がまったくない。」こうした細部にまで行き届いた運営から、多くの学びを得たという。

黄葳さんは、台湾でも音楽と文化を融合させたイベントを手がけており、自身のブランド「生可戀」では、フェスでの飲酒ゲームの開催や、「赤声躁動」「野人祭」など台湾国内イベントとのコラボも行っている。さらに、台北市内でのボウリングイベントやワイン交流会など、音楽を軸にした都市型のコミュニティづくりにも取り組んでいる。

直近では8月29日に台北の浪漫屋で音楽イベント「金曲之夜(Golden Melody Night)」を開催予定だという。「フジロックのような熱気や一体感を台湾にも持ち帰り、より多くの人が音楽を通じて交流できる空間をつくりたい」と語った。

ボランティアだからこそ見えたフジロックの舞台裏──台湾から5年連続参加のIsaacさんが語る「没入感」

台湾からフジロック・フェスティバルに5年連続で参加しているIsaacさん。初めの3年間は観客として楽しんでいたが、昨年からはボランティアスタッフとして参加するようになり、今年で2度目のボランティア体験となった。 (関連記事: フジロック2025前夜祭が開幕!盆踊り・花火・深夜ライブに歓声沸く 関連記事をもっと読む

ボランティアの応募は意外にもハードルが高くなく、公式サイトのフォームに必要事項を入力し、3段階の審査を経て参加が決まる。連絡は主にメールで行われ、日本語能力についても「ある程度の会話力は必要ですが、N1やN2といった資格を持っていなくても問題ありません。現地でのテストもなく、比較的自由度が高い」と話す。

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