タイ・カンボジア停戦協議へ 5日間の衝突で33人死亡、20万人避難

2025-07-28 14:57
2025年7月27日、タイとカンボジアの軍が交戦する中、カンボジア・オッドーミーンチェイ州の避難キャンプ内で、補給用トラックを警護するカンボジアの武装警察官。(AP通信)
2025年7月27日、タイとカンボジアの軍が交戦する中、カンボジア・オッドーミーンチェイ州の避難キャンプ内で、補給用トラックを警護するカンボジアの武装警察官。(AP通信)

国境での軍事的緊張が続くタイとカンボジアの両国は、28日午後、マレーシアにおいて停戦に向けた首脳会談を行う予定だ。タイ政府が27日夜に発表した。両国はすでに5日間にわたり武力衝突を続けており、少なくとも33人が死亡、20万人以上が避難を余儀なくされている中、外交的打開の兆しとして注目される。

会談は現地時間28日午後3時から行われる予定で、タイ側はプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相(代理首相)が代表として出席。カンボジア側はフン・マネット首相が参加する予定で、東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国を務めるマレーシアが仲介役を担う。

タイとカンボジアの関係は、今年5月末、国境地帯での小規模な衝突によってカンボジア兵1名が死亡したことを契機に悪化。以降、双方が国境沿いに兵力を増派し、緊張が高まり続けていた。特に先週木曜日には双方が「相手側からの先制攻撃があった」と非難し合い、状況は急速にエスカレート。ここ数日間で過去10年以上で最悪の軍事衝突に発展していた。

現時点で確認されている死者は33人に上り、うち13人はタイ側の民間人、8人はカンボジア側の民間人とされている。避難者もタイ・カンボジア両国で20万人以上にのぼっており、人道的危機も懸念されている。

28日の和平協議は、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相が提示した停戦案を土台とし、またアメリカのトランプ大統領が先週、両国首脳が「停戦推進に合意した」と発表したことを受けて実現した初の直接対話の場となる。

両国が実効性のある停戦合意に至るかは予断を許さないが、地域の安定と人道状況の改善に向けた重要な一歩となるか、注視される。

2025年7月27日、タイとカンボジアの両軍が交戦している最中、カンボジアのオドーメンチェイ州金辺寺近郊で、村人が慈善団体から寄付された難民物資をトラックから下ろしている。(AP通信)
2025年7月27日、タイとカンボジアの軍が交戦する中、カンボジア・オッドーミーンチェイ州のキンペン寺付近で、地元住民が慈善団体から寄贈された避難民向けの支援物資をトラックから降ろしている様子。(AP通信)
2025年7月27日、タイとカンボジアの両軍が交戦している最中、カンボジアのオドーメンチェイ州金辺寺の避難村民が診療所に身体検査に訪れている。(AP通信)
2025年7月27日、タイとカンボジアの軍が交戦する中、カンボジア・オッドーミーンチェイ州のキンペン寺に避難してきた住民たちが、診療所で健康チェックを受けている様子。(AP通信)
2025年7月25日、タイ・カンボジア衝突後に家を離れたタイの住民がスリン県の避難センターで休息している。(AP通信)
2025年7月25日、タイ・カンボジア間の衝突を受けて自宅を離れたタイの住民たちが、スリン県の避難センターで休息している様子。(AP通信)
2025年7月27日、タイ・カンボジアの国境衝突後に家を離れたタイの住民がスリン県の避難センターで休息している。(AP通信)
2025年7月27日、タイとカンボジアの国境衝突を受けて避難したタイの住民たちが、タイ・スリン県の避難センターで休息している様子。(AP通信)

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