国境での軍事的緊張が続くタイとカンボジアの両国は、28日午後、マレーシアにおいて停戦に向けた首脳会談を行う予定だ。タイ政府が27日夜に発表した。両国はすでに5日間にわたり武力衝突を続けており、少なくとも33人が死亡、20万人以上が避難を余儀なくされている中、外交的打開の兆しとして注目される。
会談は現地時間28日午後3時から行われる予定で、タイ側はプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相(代理首相)が代表として出席。カンボジア側はフン・マネット首相が参加する予定で、東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国を務めるマレーシアが仲介役を担う。
タイとカンボジアの関係は、今年5月末、国境地帯での小規模な衝突によってカンボジア兵1名が死亡したことを契機に悪化。以降、双方が国境沿いに兵力を増派し、緊張が高まり続けていた。特に先週木曜日には双方が「相手側からの先制攻撃があった」と非難し合い、状況は急速にエスカレート。ここ数日間で過去10年以上で最悪の軍事衝突に発展していた。
現時点で確認されている死者は33人に上り、うち13人はタイ側の民間人、8人はカンボジア側の民間人とされている。避難者もタイ・カンボジア両国で20万人以上にのぼっており、人道的危機も懸念されている。
28日の和平協議は、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相が提示した停戦案を土台とし、またアメリカのトランプ大統領が先週、両国首脳が「停戦推進に合意した」と発表したことを受けて実現した初の直接対話の場となる。
両国が実効性のある停戦合意に至るかは予断を許さないが、地域の安定と人道状況の改善に向けた重要な一歩となるか、注視される。




編集:梅木奈実 (関連記事: タイとカンボジア、なぜ開戦?前首相の『通話漏洩』が引き金に──百年にわたる寺院領有権争い、再燃 | 関連記事をもっと読む )
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