「232半導体産業調査」結果が公表へ
米国は4月に国家安全保障を理由に232半導体産業調査を開始したが、関税の詳細はまだ発表されていない。台湾をはじめとする半導体産業が発達した国々は神経を尖らせている。米商務長官のルトニック氏は本日、2週間以内に調査結果を公表すると発表した。
トランプ米大統領は本日、スコットランドでEU委員会のフォン・デア・ライエン委員長と関税協定を締結した。ルトニック商務長官は会場で、記者の半導体関税に関する質問に答えた。
「232半導体産業調査」の結果が間もなく公表
トランプ氏は2月に輸入半導体に25%の関税を課すと表明し、商務省は2か月後に1962年「貿易拡大法」第232条項を援用して半導体調査を開始。
この調査の対象範囲は広範囲にわたり、シリコンウエハーなどの半導体部品や半導体製造装置などの「半導体搭載製品」などが含まれる。商務省は「国内半導体生産能力向上の実現可能性」に着目し、輸入製品への依存度を下げるとともに、国家安全保障保護のため関税などの追加貿易措置を実施する「必要性」があるかを検討している。
米国は台湾からの半導体輸入に高度に依存しており、バイデン前大統領はこの状況を転換しようと「半導体法案」の成立を推進し、半導体メーカーの米国内生産拡大に補助金を提供した。TSMCも同法に基づいて補助金を獲得している。
「25%の半導体関税」が米国に与える潜在的影響
トランプ氏が25%の半導体関税を打ち出した後、「関税適用の免除」を求める声が絶えない。ワシントンのシンクタンク「情報技術イノベーション財団」(ITIF)は5月にモデル計算を行い、25%の半導体関税が実施された初年度に米国の経済成長率が0.18%低下すると推計した。10年間継続した場合の累積GDP損失は1兆4000億ドルに達するとしている。
また、半導体コストが25%上昇することで、自動車価格が最大1000ドル直接上昇する可能性がある。「情報技術イノベーション財団」は、経済縮小による税収損失が関税収入を上回ると推計している。
同シンクタンクは、米政府が1650億ドルの純税収を失うと指摘。米国民の一人当たりの生活水準は初年度に122ドル、10年累計で4208ドルの損失となる。
AI、自動車などの重要産業への影響について、同シンクタンクは半導体コストの増加がAIモデルの訓練コストを押し上げ、AI分野での米国の競争力を削ぐと述べている。一方で中国はAIと半導体産業への大規模補助金を継続するため、中国企業は同様のコスト制約を受けることなくAI能力を拡大でき、主導的地位を獲得する機会を得るとしている。
編集:佐野華美
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp