舞台裏》台湾が大罷免運動を開始 蔡英文氏がずっと心配していた一つのこと

2025-07-27 21:15
蔡英文氏は退任後、自身の行動と発言を自制しているが、水面下では台湾情勢に高い関心を寄せている。(蔡英文事務所提供)
蔡英文氏は退任後、自身の行動と発言を自制しているが、水面下では台湾情勢に高い関心を寄せている。(蔡英文事務所提供)

前総統蔡英文は罷免投票前にフェイスブックで投稿。罷免行動は一つの市民運動であり、台湾の民主主義は空虚なスローガンではなく、一人ひとりの国民の日常的な実践であり、台湾人民の粘り強さを示すものだとして「7月26日、一人の市民として、私は投票に行く」と表明した。蔡氏はどのように投票するかは明言しなかったが、短い一文が注目を集めた。

実際のところ、蔡英文の心の中には常に気にかけていることがあった。この問題について、彼女は総統任期が終わろうとする直前まで解決しようと努力したが成功せず、退任後も気がかりとなっており、今では憂慮の種となっている。蔡英文は一体何を気にしているのだろうか。

20250725-反共護台志工聯盟與各地罷免團體25日於立院外舉行「為民主守夜,公民集氣晚會」。(顏麟宇攝)
大罷免の始動が台湾にとって良いことなのか悪いことなのか、台湾の民主改革過程に参与した多くの重要人物らが高い関心を寄せている。(顏麟宇撮影)

台湾の内部消耗を懸念 蔡英文総統末期に柯文哲、朱立倫との会談を提案

関係筋によると、蔡英文は総統在任後期、国際外交の複雑さよりも台湾政治の内部消耗の方が解決困難だと感じるようになった。中国は常にこのような内部消耗を利用しており、相手に思う壺にさせるよりはと、蔡英文は一時総統の立場から問題処理に乗り出そうと考え、国民党主席朱立倫氏と当時の民衆党主席柯文哲氏を官邸に招いて話し合いたいとの招請を行った。

朱立倫氏は訪問しなかったが、柯文哲氏は応じた。蔡英文と柯文哲は様々な事柄について話し合い、国防議題にも触れた。しかし一部の事項については、柯文哲氏は蔡英文が退任予定であるため、当時就任を控えていた頼清徳総統が話し合うべきだと考え、結局立ち消えになった。その後二人は牛肉麺を食べ、贈り物も交換し、柯文哲氏は蔡英文に「小草」という鉢植えを贈った。

20240314-總統蔡英文(右)14日中午會見民眾黨主席柯文哲(左)。(總統府提供)
蔡英文(右)は総統任期終了前に台湾政治の内部消耗解決を試み、民衆党主席柯文哲(左)と会見。柯文哲氏は蔡英文に民衆党を象徴する「小草」の鉢植えまで贈った。(総統府提供)

退任後の朝野混乱 蔡英文が憂慮

退任後の朝野混乱を見て、関係筋によると、蔡英文は台湾社会の分裂を深く憂慮し、しばしば各方面の意見を求めたり聞いたりしている。注目すべきは、蔡英文だけでなく、2000年の政権交代を推進し陳水扁氏の総統就任を支援した重要人物らも、最近期せずして蔡英文と同様に同じことを憂慮していることである。すなわち、朝野対立がここまで至れば、必ず台湾に不利になるということだ。

多くの人が大罷免による台湾の分裂を憂慮している。しかし、情勢を泥沼に追い込んだのは、当然一方だけの責任ではない。関係筋によると、朝野協力の鍵となる立法院長選挙の際、柯文哲氏の非常に重要な友人が、民衆党と民進党の協力を提案し、当選立法委員の黄珊珊氏を立法院長に、民進党を副院長にして国家を安定させるよう助言したが、柯文哲氏は同意せず、当然その後民進党も否決した。関係筋によると、当時この友人は柯文哲氏に手紙を書き、その時になって国家の混乱について、あなたは必ず責任を逃れることはできない、「莫謂言之不予」(後で私が言わなかったとは言わせない)と告げた。 (関連記事: 特集》台湾・桃園で民進党チーム苦戦 リコール失敗、鄭文燦氏の地盤取り戻せず 関連記事をもっと読む

柯文哲氏の国会での選択は、彼が以前総統選挙で協議を破棄した藍白合作であり、これが朝小野大の構図を決定づけた。国民党が多数を占める中、台湾海峡危機が激化した時期に国防予算を削減し、アメリカ人でさえ理解を示さず、花蓮の王と呼ばれる傅崐萁氏は社会的争議の大きい法案を推進し、さらに訪中団を率いて中国全国政協主席王滬寧氏と会見するなど、国民党の一部の行為が今回の大罷免の火種となった。

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