小笠原欣幸が大罷免を分析:頼清徳の「団結十講」が裏目に、中共の台湾浸透が一層深化する恐れ

2025-07-27 22:06
決戦国会公民不退開票夜が26日に立法院外済南路で開催、図はリコール団体ボランティアが泣いている様子。(劉偉宏撮影)
決戦国会公民不退開票夜が26日に立法院外済南路で開催、図はリコール団体ボランティアが泣いている様子。(劉偉宏撮影)
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台湾政治史、さらには各国の政治史においても極めて稀な大規模罷免投票が26日、国民党が全議席を守り抜く「完全勝利」で幕を閉じた。現在台湾の清華大学で栄誉講座教授を務める小笠原欣幸氏が、日本メディア『産経新聞』の専門インタビューに応じ、この「ミニ立法院選挙」の勝敗の要因、背景にある民意の動向、そして今後の台湾政治情勢への深刻な影響を詳しく分析した。小笠原欣幸氏は、この選挙戦が民進党優位時代の終焉を確認しただけでなく、中国の浸透工作にとって有利な局面を開く可能性があると指摘した。

小笠原欣幸教授は台湾政治研究の権威であり、元東京外国語大学教授として台湾政治と両岸関係の研究に専念してきた。その見解は国際メディアでしばしば引用され、台湾民主主義の独自性と課題を強調している。小笠原教授は『産経』のインタビューで、今回の罷免投票は国民党の「全面勝利」だったと率直に述べた。同氏は今年1月以降、市民団体が国民党立法委員に対する罷免運動を起こし、与党民進党の支持を得たことを振り返り、「6月上旬まで、私は罷免派が優勢だと考えていた。国民党は当初『罷免に罷免で対抗する』戦略を採ったが、権力者の署名収集が失敗し、党中央の指導力不足も加わって、情勢は一時非常に不利だった」と語った。

小笠原欣幸(小笠原フェイスブックより)
小笠原欣幸氏(小笠原フェイスブックより)

頼清徳「団結十講」が裏目に

しかし国民党立法委員は後援会を動員し、小規模な反罷免説明会を開催して徐々に局面を転換させた。特に重要な転換点は6月下旬に現れ、頼清徳総統が一連の「国家団結」演説を展開した際、「野党陣営は除去すべき雑質である」と解釈される発言をして、野党支持者の怒りを買った。「これは国民党に反撃の絶好の機会を与えた。彼らは『頼政権の横暴を許すな』と叫び、支持者の投票意欲を喚起することに成功した。終盤段階では、各選挙区の国民党が逆転を実現し、一方で罷免支持派の活動は空虚で力のないものとなった」

罷免派は当初、少なくとも6人、最大で10人の罷免可能と予想し、その後の補欠選挙で民進党が国会で過半数を獲得する可能性が高まると考えていた。しかし26日の結果は、国民党の罷免対象立法委員・市長が全員通過し、補欠選挙は完全に頓挫し、8月23日の次の波の罷免運動(国民党籍立法委員7議席対象)の前途も暗くした。小笠原欣幸氏は「署名段階で既に苦戦していた選挙区では、成立の可能性は低い。これは罷免派の全面敗北である」と述べた。 (関連記事: 726大罷免、全敗の理由とは?主要国際メディアの反応を総覧 今後の賴清德氏は苦戦か 関連記事をもっと読む

台湾の民意極化

小笠原欣幸氏の分析によると、台湾の現在の民意は二極化構造を呈し、頼清徳総統への支持・反対、与党・野党への支持比率はほぼ拮抗している。大罷免投票の勝敗は「どちらの支持者がより実際に投票する意思があるか」にかかっていたとし、同氏は罷免派が表面的には熱意が高く投票意欲が強く見えたが、多くの有権者が内心で疑問を抱いていたのは、昨年1月の選挙結果を今罷免で覆すことができるのかということだったと観察した。このような疑念を抱く有権者が投票するかどうかは最後まで分からなかったが、国民党はこの点を利用し、反対票の積み重ねに成功した。

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