米国のドナルド・トランプ大統領は、8月1日を期限とする新たな「対等関税交渉」に向けて、各国との協議を進めている。その中で、25%だった関税を15%に引き下げる日米貿易合意を発表し、国際的な注目を集めた。また、最近開催されたAIサミットにおいて、各国に課す関税は15%から最大50%の範囲になると説明。「50%という数字は、関係があまりうまくいっていない国に適用される」と語った。
こうした動きについて、台湾の財経評論家・游庭皓(ヨウ・テイコウ)氏は25日、自身のFacebookで「関税戦争は最終局面に入った可能性がある」と分析している。
今回の日米貿易合意では、日本側が総額5,500億ドルにのぼる米国への投資を約束し、自動車、コメ、その他の農産品市場を開放する内容が盛り込まれた。トランプ氏は「米国は90%の利益を得ることになる」と述べ、かつてない規模の協定であることを強調した。
一方で、欧州連合(EU)もこの動きを注視しており、外交筋によれば、日米合意を参考に15%の関税水準で米国と合意を結ぶ可能性があるという。その対象には、自動車分野の拡大も含まれる見通しだ。
游氏は、トランプ政権が15%を新たな「グローバル関税標準」として推進していると指摘。すでに日米合意が成立し、EUとの協議も大詰めを迎えるなか、市場では「米国への大規模投資が可能な国」は15%の優遇税率を獲得できる一方で、「投資が困難な国」は市場開放と引き換えに20%の関税が課されると予想されている。
また游氏は、関税協議が一区切りを迎えた後、市場の関心は《通商拡大法232条》に基づく調査へと移ると見ている。対象となるのは、銅、木材、半導体、医薬品、大型トラック、重要鉱物、商用航空機など多岐にわたる分野であり、今後の動向が注目される。
編集:梅木奈実 (関連記事: 独占》台湾の関税は20%未満に? 開放の裏に潜む代償 | 関連記事をもっと読む )
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