先ほど米Meta社から8億ドルの買収提案を断り話題となった韓国の人工知能(AI)チップスタートアップ企業フリオサAIが、このほど創立以来初の大型受注を正式に獲得した。LGの仲介により、同社が自主開発したAIチップRNGDが同ブランドの大規模言語モデル「エクサワン」に採用されることとなり、エヌビディアの挑戦者と呼ばれるこのスタートアップ企業が再び各国の主要メディアで注目を集めている。
FuriosaAI, the Seoul-based startup seeking to design chips to compete with Nvidia, has sealed its first major contract months after rejecting an $800 million acquisition offer from Metahttps://t.co/EIPdbi1q7G
— Bloomberg (@business)July 22, 2025
FuriosaAIとは何者か
FuriosaAIは2017年に設立され、サムスン電子とAMDで勤務経験のあるエンジニア、ジューン・パイク氏が創立した。同社はAI推論やサービス用の半導体開発に特化しており、同社の説明によると、自社製品はグラフィック処理装置(GPU)と比較して2倍以上優れた性能を持つという。
創立から8年を迎えた今、大手顧客の認知を得られたことでFuriosaAIは非常に喜んでいる。最高経営責任者のジューン・パイク氏は「過去8年間、研究開発から製品開発段階まで努力を重ね、ついに商業化の段階に入った。これは我々の製品が企業での使用に向けて準備が整ったことを意味する」と述べた。

今回のLGとの協力の中核は、自社チップをLG内部の企業向けAI知的エージェント「チャットエクサワン」システムに組み込み演算支援を提供し、大規模言語モデルの訓練を支援するとともに、同システムを電子、金融など複数の産業に拡張し、さらにはライセンスを販売して外部顧客にも提供することである。
自主開発チップ能力を持つFuriosaAIは、人工知能事業を積極的に拡張するザッカーバーグ氏にも注目され、今年3月には最大8億ドルの買収条件が提示されたと伝えられたが、最終的に丁重に断られた。創設者のジューン・パイク氏は会社の独立経営を維持することを選択し、長期的発展の主導権を握ることを選んだ。この決定は外部に衝撃を与えると同時に、創設者の自社技術と市場戦略に対する高い自信を反映している。

韓国国内で大手ブランドの「認証」を得たほか、FuriosaAIの最終目標は多くのスタートアップ企業と同様、株式公開(IPO)の実現である。創設者によると、米国・中東・東南アジア諸国で潜在顧客との交渉を同時に進めており、2025年下半期にはより多くの契約を獲得することを予想している。
野心的ではあるが、FuriosaAIの前に立ちはだかる難関は市場記録を更新するNVIDIAだけではない。同社は韓国の多くのスタートアップライバルとも競わなければならず、Groq・SambaNova SystemsやCerebras Systemsなどと競争することになる。
これらのライバルはいずれも侮れない存在である。米カリフォルニア州に設立されたSambaNova Systems(サンバノバシステムズ)を例に取ると、創立から8年の間に、同社はGoogleとSoftBankから多額の出資を受け、一時は世界で「最も資金力のある」人工知能企業の一つとなった。チャットGPTの父と呼ばれるオルトマン氏の支援を得たCerebras Systems(セレブラスシステムズ)は、すでに2024年に株式公開を果たしている。一方、複数の元Googleエンジニアが創立したGroqは、すでにメタなど大手企業の認証を得て、BlackRockなど複数のプライベートエクイティファンドの支援を受けており、こちらも資金力豊富なAIスタートアップ企業である。
編集:佐野華美
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