台湾衛生福利部(衛福部)が進めている加熱式たばこの健康リスク評価審査が開始から2年半を経過し、近日中にも審査結果が公表される可能性が高まっている。販売許可の時期は未定だが、仮に公表される場合は、国民健康署の呉昭軍署長が7月末に退任し、成功大学附属病院の小児科医である沈静芬氏が後任に就任する直前のタイミングとなることから、政界・業界双方の注目が集まっている。
国会でも審査の進捗に関心高まる
6月19日、立法院財政委員会では「過去3年間におけるたばこ・酒類管理法に基づく密輸取締り(電子たばこ・加熱式たばこを含む)の成果と、たばこ健康寄付金の配分・運用状況」が議題として審議された。
この場で与党・民進党の李坤城立法委員は「密輸が深刻化しているにもかかわらず、衛福部は納管(審査)進度を明示していない」と指摘し、審査の加速を強く求めた。これに続き、民進党の呉秉叡氏や、野党・国民党の頼士葆氏も審査の進展の遅れに懸念を表明。邱泰源衛福部長は「今後3カ月以内に結論を出したい」と答弁した。
その後、国民健康署は新たな健康リスク評価委員会を開催したが、審査結果が公表される具体的な時期は依然として不透明である。
7社が審査継続中、6社が最終段階へ
衛福部の担当者によると、現在審査中の関連資料はすべて評価プロセスにあり、これまでに4社が申請を取り下げたものの、7社が審査を継続中で、そのうち6社は最終段階に入っているという。
規定では、書面審査と実質審査の各段階がそれぞれ6カ月とされており、資料に不備や不足がある場合は補足資料の提出が必要となる。現在、手続きは順次進められている。
激化するロビー活動と市民団体の反発
この2年半、たばこ業界は立法院においてロビー活動を展開し、在外公館を通じた調整も活発に行ってきた。一方、市民団体は紙巻きたばこの健康被害を訴え、「加熱式たばこを規制すべき」として、15回以上の抗議デモを実施。こうしたなか、財政委員会が関連資料の提出を求めた直後に審査が進展し始めたことで、審査の時期やプロセスに対する関心が一段と高まっている。
非公開の審査基準、補足要求は多岐にわたる
2023年に施行された加熱式たばこ審査規則は、施行後も運用過程で随時修正されており、同年中には十数社が申請を行った。7月14日時点で、7社が審査中であり、複数が最終段階にある。
衛福部は「各申請案件は専門家が個別に評価し、補足資料の提出期限や内容もケースバイケース」と説明しているが、審査基準そのものは公表されていない。
補足資料に対する要求は極めて広範囲に及んでいる。主な内容としては、製品に含まれる添加物の誘引性や依存性に関する詳細なデータ、申請品目以外の科学的データによる裏付け、依存性物質や乱用の可能性に関する研究、さらには健康被害の長期追跡調査データなどが挙げられる。 (関連記事: 訪日観光客、過去最速で2000万人突破 「地震の噂」も影響せず、上半期で記録更新 | 関連記事をもっと読む )
さらに、青少年など感受性の高い層における使用実態や健康への影響、未成年を含む利用者の行動と疫学的分析、市場投入後の監視体制や青少年利用への対応策、子どもの誤飲時におけるリスク評価までが求められている。