第27回参議院議員通常選挙は20日に投開票が行われ、自民・公明の与党連合は大敗を喫し、石破茂首相の続投にも黄信号が灯る中、SNS発の新興政党・参政党が急速に勢力を拡大し、日本政界に大きな波紋を広げている。
「日本人ファースト」をスローガンに掲げ、排外的かつポピュリズム色の強い極右政党である参政党は、今回の選挙で14議席を獲得。前回選挙での1議席から大幅に伸ばし、存在感を一気に高めた。ロイター通信は、「参政党の台頭は自民党の保守票を奪ったばかりでなく、日本社会が直面する経済停滞、高齢化、移民問題に対する不安と不満の高まりを象徴するものだ」と指摘している。
陰謀論から国政へ YouTube発の異色政党
ロイター通信が21日に報じたところによれば、参政党の台頭は従来の枠組みに当てはまらない「非典型的な政治運動」と言える。新型コロナウイルスの流行期にYouTube上で結成されたこの政党は、当初はワクチン陰謀論や反グローバリズムを訴える動画を通じて注目を集めた。
ネット上の話題性を現実の政治動員に転換し、「日本人ファースト」というスローガンを武器に選挙戦を展開。20日の投開票では、改選前の1議席から一気に14議席を獲得し、参議院(定数248)の中で存在感を大きく高めた。
党首の神谷宗幣氏(47)は、選挙後に日本テレビの取材に対し、「『日本人ファースト』という言葉は、グローバリズムへの対抗であり、日本国民の生活再建を意味する」と説明し、「外国人を全て排除するつもりはないし、出て行けとも言っていない」と語り、極端な排外主義との線引きを試みた。
しかし、参政党の主張の核心には一貫して「移民への強硬姿勢」が存在する。彼らは、日本が直面する諸課題の根本原因を「静かな侵略(silent invasion)」と表現し、移民が日本の社会構造や国民の利益を脅かしていると警鐘を鳴らしてきた。
神谷氏の主張は、経済の停滞と社会の変容に対する有権者の深い不安を鋭く突く内容となっている。
経済不安と高齢化 ポピュリズムの温床
日本放送協会(NHK)が選挙前に実施した世論調査によれば、有権者の29%が「社会保障・少子化問題」を最も重要な政策課題に挙げ、28%が過去1年で倍増した米の価格に不安を感じていた。一方で、「移民・外国人政策」は7%で5番目の関心事項にとどまった。
にもかかわらず、参政党はこの移民問題を国民生活に直結する経済問題と巧みに結びつけることで、支持を拡大させた。
政治アナリストらは、円安によって訪日観光客が過去最多を記録した一方で、国内物価も急騰し、多くの日本人が生活費の上昇に苦しんでいると指摘する。こうした経済的プレッシャーの中で、神谷宗幣氏の「原因は移民政策の失敗にある」とする主張は、単純ながらも共感を呼び、不満を抱える有権者の怒りの受け皿となった。 (関連記事: 石破政権が崖っぷち 高市早苗氏が総裁選出馬表明、ポスト石破へ動き加速 | 関連記事をもっと読む )

実際、日本政府の統計によれば、2024年時点で日本に在留する外国人は過去最多の380万人に達しているものの、全人口のわずか3%にすぎない。欧米諸国と比較すれば極めて低い割合である。