日本第27回参議院議員選挙が本日(20日)、重要な投票日を迎え、全国各地の投票所が午前7時から順次開放された。今回の選挙は現職の石破茂首相とその内閣に対する「中間試験」と見なされているが、日本メディアは軒並み石破政権が参院の半数議席を維持することは困難との見方を示している。これにより石破氏 の退陣、内閣改造、さらには新たな政界再編の引き金となり、日本政治に激震をもたらす変数となる可能性がある。
総務省が発表したデータによると、本日(20日)午後2時現在の全国平均投票率は18.51%である。注目すべきは、今回の選挙における「期日前投票」(事前投票)が異常なほど活発で、18日までに全有権者の約2割にあたる2145万人が投票を完了し、過去最高記録を更新した。これは有権者のこの選挙戦に対する高い関心の表れであるとともに、最終結果の不確実性をさらに高めている。
「石破防衛戦」:過半数125議席の生死線 今回の選挙では参議院の計124議席(選挙区74議席、比例代表50議席)が改選される。参議院の総議席数は248議席で、過半数のボーダーラインは125議席である。与党の自民党と公明党は最低でも50議席を獲得し、非改選の75議席と合わせて125議席の過半数をかろうじて維持する必要がある。
2025年7月19日、東京の街頭で選挙運動を行う石破茂首相。(AP通信)
しかし、この「最低ライン」は石破政権にとって極めて厳しい挑戦である。自民党は昨年10月の衆議院選挙で大きな打撃を受け、国会下院での過半数優位を失った。参院でも過半数を失えば、参衆両院で「少数与党」となる「ねじれ国会」の困難な状況に陥り、政権基盤は極度に弱体化し、法案の推進と政策の実行に巨大な障害が生じることになる。
毎日新聞が選挙前に発表した情勢調査によると、与党連合の選挙情勢は引き続き厳しく、50議席の目標維持は風前の灯火となっている。毎日新聞の政治記者は与党連合が今回の選挙で獲得できるのは45議席程度にとどまると予測している。自民党内部にはすでに悲観的な雰囲気が漂っており、ある内閣閣僚は私的に「政権終結の心理的準備をしなければならない」と明かした。首相官邸のスタッフも「20日の開票後、おそらく政局の動揺が始まる」と率直に認めている。
物価高騰が最大の攻防点、与野党政策が激しく対立 今回の選挙戦の最大の焦点は、間違いなく国民が最も実感している「物価高騰」問題である。継続的なインフレ圧力に直面し、与党連合は「現金給付」政策を前面に押し出し、打撃を受けた家庭への直接的な補助を目指している。石破氏 は選挙前最後の夜の街頭演説で、声を枯らしながら「本当に困っている人たちのために、日本の将来のために、私たちは全身全霊でこの選挙戦に取り組んでいる」と強調した。
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一方、野党陣営は集中的に消費税に攻撃の矛先を向けており、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの主要野党はいずれも「消費税引き下げ」を物価問題への対応の核心政策として提出し、これにより消費を刺激し、国民の負担を軽減することを狙っている。
参院選挙は石破茂政権の存続を左右する。(AP通信)
経済問題のほか、外国人政策、日米関税交渉、米価高騰対策、社会保障制度改革なども、与野党が激しく論戦を展開している議題である。立憲民主党代表の野田佳彦氏 は福島県での演説で強く呼びかけ、同党が重要な「改選1人区」で勝利すれば「自公連合の議席を確実に過半数割れに追い込める」と述べ、強い政権奪取への意欲を示した。
参院過半数を失えば「石破退陣」が既定路線に 与党連合が参議院の過半数を維持できなければ、石破茂氏の 首相の座は風前の灯火となる。自民党内部にはすでに「首相退陣は避けられない」との見方が流れており、党総裁選挙の日程案もひそかに浮上している。
日本政界の歴史を振り返ると、参議院選挙の大敗により退陣した首相の前例は少なくない。最も有名な事例は1998年の橋本龍太郎内閣で、当時橋本首相は開票翌日の記者会見で辞職を表明し、自民党は直ちに総裁選に突入、わずか11日後に小渕恵三氏 の後任が選出された。党内関係者は「今回が惨敗であれば、首相は開票当夜か翌日の臨時党務会議で辞意を表明する可能性が高い」と予測している。
安倍晋三氏。(AP通信)
もう一つの有名な事例は2007年の第1次安倍晋三政権である。当時自民党は参院選で同様に大敗し、安倍首相は一時衆議の反対を押し切って続投を選択したが、最終的には「ねじれ国会」の巨大な圧力と自身の健康問題により、同年9月に失意の退陣となった。
ただし、議席差がそれほど大きくなければ、石破茂氏 は差し迫った「日米関税交渉」(8月1日が期限とされる)への対処を理由に、一時的に留任する可能性もある。しかしその場合でも、「石破おろし」の党内勢力は必ず迅速に結集し、政権は風雨にさらされることになる。さらに複雑なのは、野党がすでに衆議院の多数を握っているため、首相指名選挙で野党が結束すれば政権交代を実現でき、自民党と公明党は共に下野することになる。
石破茂を標的に、総裁選前哨戦が開幕 参議院選挙の投票日を48時間足らずに控えた重要な時刻に、自民党内の重鎮で前経済安全保障担当大臣の高市早苗氏 が、18日夜に衝撃弾を投下し、次回の自民党総裁選挙への挑戦を正式表明した。これによりすでに緊迫していた選挙情勢にさらなる火種が加わり、党内の権力闘争も前倒しで表面化することとなった。
頼清徳総統が28日午後「日本前経済安全保障担当大臣高市早苗衆議院議員一行」と面会。(総統府公式サイトより)
高市早苗氏 は奈良県大和郡山市での応援演説で、極めて強硬な措辞で支持者に宣言した。「私はすでに決意を固めた。自民党の背骨を正しい方向に立て直すために、私はこのために戦う」この発言は間違いなく現職の首相・党総裁である石破茂への直接的な挑戦状であり、参院選の結果がどうであれ、激烈な党内闘争が避けられないことを予告している。
高市早苗氏とは何者か 現在64歳の高市氏 は自民党内保守派の代表的人物で、故安倍晋三元首相路線の継承者の一人と見なされ、党内最右翼の保守派に属する。昨年の自民党総裁選挙では石破茂氏と激しく競った。第1回の党員投票では、高市氏 の得票数が一時石破茂氏を上回り、彼女の基層と党内右翼での強力な動員力を示した。最終的には第2回の国会議員による決選投票で惜敗したが、党内の権力構造を揺るがすだけの実力派であることをすでに証明している。
高市氏は演説で、昨年の敗選後「ずっと我慢し、自分の発言を抑制してきた」と述べた。しかし今回の参議院選挙で全国を応援して回る中で、国民が自民党に「厳しい目線」を向けており「今の自民党は以前と違う」と感じていることを深く実感したと率直に語った。この発言は現政権への批判であるとともに、自身の「決起」の正当性を裏付ける伏線でもある。高市氏のこの動きは、「ポスト石破時代」の権力競争に向けた事前の布石であり、党内各派閥に向けて反石破勢力が結集を始めたとのシグナルを発している。