ピュー研究所(Pew Research Center)が発表した最新の世界世論調査によると、中国は依然として多くの否定的な評価を受けているものの、過去1年間で15か国において中国への印象が改善する傾向が見られた。中国に対する好意的な見方は2024年の31%から2025年には36%へと上昇し、国際社会の対中姿勢がわずかに緩和していることを示している。
中国の国際的な好感度が向上?
今回の調査は25か国を対象としており、フランスやカナダ、南アフリカ、オーストラリア、イギリス、ドイツなどで中国への評価が改善した。また、中国の習近平国家主席への信頼度も上昇し、16か国で前年を上回る数値が示された。
アメリカの好感度が急落?
一方で、別の報告ではアメリカの国際的イメージが著しく低下していると指摘されている。10の高所得国で、アメリカに好意的な回答は平均35%にとどまり、前年の51%から大きく減少した。この変化はトランプ大統領の再任期下で起きており、その指導スタイルや政策が国際的な不安感を招いているとみられる。それでも、これらの国々の多くはアメリカを依然として理想的な経済パートナーと考えており、中国との経済連携を強めたいと答えたのはインドネシア、南アフリカ、メキシコ、ケニアなど一部に限られた。
さらに調査では、世代間の意識の差も浮き彫りになった。ポーランド、イギリス、ギリシャ、スペインなどでは、13歳から18歳の若年層が年長世代よりも中国に対して良い印象を持つ傾向がみられた。Z世代の中国への受容度が高い背景には、ソーシャルメディアや文化的影響などが関わっている可能性がある。
トランプ政策が国際感覚に影響?
ピュー研究センターのローラ・シルバ副研究ディレクターは、米中両国に対する国際社会の態度の変化は指導者の政策と密接に関連していると説明した。「意見は相対的な部分があり、一方の超大国への見方が変われば、もう一方への見方も変わる可能性がある」と述べた上で、「アメリカの指導的役割への信頼が低下し、特にトランプ氏の政策下で不安定さを感じた場合、中国のイメージが相対的に良く映る可能性がある」と指摘した。さらに「アメリカが不安定に見え、トランプ氏が世界経済をリードすることへの信頼が揺らぐと、中国が別の評価を受けるようになる」と述べ、こうした背景の下、ますます多くの国が中国を世界経済のリーダーと見なしていると総括した。
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