シリアの首都ダマスカスが16日、イスラエル軍による大規模な空爆を受けた。攻撃目標には国防省の所在地区が含まれ、現地では低空飛行する戦闘機の音を聞いたという目撃情報が相次いだ。爆発後、街は濃い煙に包まれ、政府関連の重要施設の多くが破壊されたと伝えられている。シリア保健省によれば、この攻撃で少なくとも3人が死亡、34人が負傷した。シリア人権ネットワークは、連日の衝突によりシリア国内で少なくとも169人が死亡、200人が負傷したと報告している。
シリア外務省は「今回の露骨な攻撃は、イスラエルの体系的な政策の表れであり、緊張を高め、混乱を引き起こすことでシリアの安全を脅かすものだ」と強く非難した上で、「シリアは国際法に基づき、土地と国民を守る正当な権利を持つ」と表明した。一方、ロイター通信などの報道では、イスラエル国防軍が今回の空爆を行ったのは、より広い土地や水源の確保ではなく、イスラエル国内の「異教徒」とされるドゥルーズ族が国境を越えてシリア南部に住む同胞を守るためとの見方が示されている。警告として、まず首都ダマスカスを攻撃したとも報じられた。
😳 Another war? “Warnings to Syria are over — now there will be painful strikes,” said Israel’s Defense Minister.
— Angelica Shalagina🇺🇦 (@angelshalagina)July 16, 2025
Reports say the IDF hit the General Staff building and the Presidential Palace. Local media report many fires in Damascus.pic.twitter.com/We5tCmt69Z
BREAKING: Israel launches massive airstrikes on Damascus, Syria.🚨
— Global Dissident (@GlobalDiss)July 16, 2025
Defense Minister Yoav Kac declares: “The painful blows have begun.”
Reports also emerging of Israeli drone strikes targeting government convoys in Sweida.pic.twitter.com/R6HyELSPeH
ドゥルーズ族とは何者か?
イスラエルと聞けばユダヤ人を思い浮かべやすいが、中東アラビア半島に実効統治地域を持つこの国には、ユダヤ人だけでなくイスラームを信仰するアラブ人や、独特な信仰を持つドゥルーズ族も住んでいる。ドゥルーズ族の信仰の起源はイスラームに遡るが、キリスト教など他宗教の影響も受け、ムスリムとは認められていない。周辺の民族と同様、一神教を信仰する。現在、この部族の総人口は120万人から200万人とされ、イスラエル、シリア、ヨルダン、レバノンの4か国に分散して暮らしている。
また、ユダヤ教にもムスリムにも属さないドゥルーズ族は、イスラエル建国後に公民として組み入れられ、国防軍の重要な構成員となっている。


強権的なアサド大統領を打倒したシリア暫定政府のアフメド・シャラア大統領は、分裂したシリアを再構築し、異なる宗派や民族の自由を守ると強調してきたが、現状ではそれが実現していない。イスラエルの空爆に先立ち、シリア政府軍は南部スウェイダを攻撃し、多くの死傷者を出しており、その中にはドゥルーズ族も含まれていた。
一方、イスラエル国内に住むドゥルーズ族は、遠縁の親族が攻撃を受ける中で、電話越しに銃声や爆発音を直接聞くことができたため、イスラエル政府に軍事介入を求め、国外の同胞を守るよう要請したとされる。イスラエルは新政府に対し、政府軍や親政府勢力を南部に派遣しないよう警告したほか、現地に住むドゥルーズ族への攻撃を控えるよう指示した。空爆が首都にまで及ぶ中、イスラエル軍はゴラン高原にも進出し、シリアの動向を監視する姿勢を示した。