中国AIスタートアップDeepSeek、新モデルの延期で使用率急落
中国のAIスタートアップ企業DeepSeekは、今年初めに「低コストで高性能」な大型言語モデルを発表し、業界に衝撃を与えた。しかし、その後の動きは振るわず、使用率は当初の50%からわずか3%にまで急落している。中国メディア「快科技」が9日に報じたところによれば、当初5月に発表予定だった新モデル「DeepSeek-R2」の姿は今も見えないままだ。
報道では「多くの人々が今年初めの輝かしい姿をすでに忘れてしまった」とされ、顕著なユーザー離れが進んでいる。新モデルR2の発表延期が続くなか、業界ではさまざまな憶測が広がっている。
業界関係者によれば、DeepSeek-R2の開発が進まない理由の一つは、トレーニングに必要なデータの質にあるという。初代モデルR1はOpenAIなどが使用するグローバルなデータセットに基づいていたが、R2はより大量かつ高品質なデータを必要としている。ところが、中国国内で提供されるデータの精度が低いため、R2では「幻覚体験(hallucination)」と呼ばれる問題「正確な答えを出せず、虚偽の情報を生成する現象」が頻発しているという。

さらに、もう一つの大きな障害が、高性能GPUの不足だ。報道によると、必要な演算資源の確保が難航しており、訓練効率が大幅に低下。これがR2のリリースをさらに遅らせている主因の一つとされている。
一方で、ライバル企業は着実に前進している。投資関連メディア「金融投資報」の報道によれば、DeepSeekが足踏みする間に、海外競合のChatGPTとGoogle Geminiの公式サイトのアクセス数は、それぞれ40.6%、85.8%増加した。
急速に進化するAI市場において、DeepSeekは半年前の技術にとどまったまま。新製品を出せない状況が続き、ユーザーの需要に応えられず、多くが離れていった。使用率の急減は、その現状を如実に物語っている。
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