アメリカのトランプ大統領は日本時間11日(金)午前9時ごろ、8月1日からカナダに対して35%の関税を課す方針を発表した。この発表を受け、米ドルは対カナダドルで上昇し、米国株先物は短期的に急落した。まもなく取引が始まる台湾株式市場にも波及する可能性がある。
トランプ氏はこれに先立ち、NBCニュースのインタビューで「欧州連合(EU)とカナダには本日または明日中に新たな関税率を通知する」と明かし、「残るすべての国にも関税を課す。税率は20%か15%かは別として、全て対象となる」と述べた。また、関税政策が株式市場に打撃を与えたり、インフレを引き起こしたりするとの見方については否定した。
その後まもなく、トランプ氏は自身のSNSプラットフォーム「Truth Social」にて、カナダのカーニー首相宛の貿易に関する書簡を公開した。「ご承知の通り、米国は自国のフェンタニル危機に対処するため、カナダに対して関税を課してきた。しかし、カナダは米国と協力するどころか、自国の関税によって報復してきた」と述べた。
さらに、トランプ氏は従来どおりの強硬姿勢を崩さず、「仮にカナダがいかなる理由であれ関税を引き上げるのであれば、その引き上げ分は我々が課す35%に上乗せされることになる」と警告した。
加えて同氏は、フェンタニルの流通以外にも米加間には多くの課題が存在すると指摘。カナダが米国に対して多くの関税・非関税措置や貿易障壁を設けていることが、両国間の貿易赤字を悪化させていると批判した。「カナダは我々の酪農家に最大400%もの関税を課している。しかも、米国の酪農製品がカナダ市場にほとんど流通していないにもかかわらずである。貿易赤字は我が国経済にとって深刻な脅威であり、国家安全保障にも関わる問題だ」と強調した。
トランプ氏は最後に、カナダがフェンタニルの流入阻止に協力するのであれば、今回の書簡の内容を再考する可能性があると述べた。

編集:柄澤南 (関連記事: 米、新関税リスト公表 ブラジル50%、日韓も対象 22カ国の税率と輸出品まとめ | 関連記事をもっと読む )
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